吉川町まちづくり基本条例試案ver2.0

 この試案は2002年10月21日、吉川町議会の第13回住民自治に関する特別委員会(橋爪法一委員長)においてまとめたものです。
 ご意見をお寄せいただければ幸いです。



吉川町まちづくり基本条例試案ver2.0

目次
 前文
第 1章 総則(第1条・第2条)
第 2章 まちづくりの基本理念(第3条)
第 3章 まちづくりの基本原則(第4条・第5条)
第 4章 住民の役割と責務(第6条−第8条)
第 5章 町の役割と責務(第9条−第12条)
第 6章 議会の役割と責務(第13条・第14条)
第 7章 まちづくりの基本システム(第15条−第26条)
第 8章 住民との協働(第27条)
第 9章 連携(第28条−第31条)
第10章 まちづくり基本条例の位置付け(第32条)
第11章 この条例の検討及び見直し(第33条)
附則

前文
 吉川町は、尾神岳を背景に緑豊かな自然環境に恵まれた町です。
 わたしたち住民は、平和と自由と民主主義を基調とした憲法のもと「住んでよかったと思えるまち」をめざし、その実現のために力を合わせ努力してきました。
 21世紀を迎えた今、わたしたちは、町内で生活する誰もが自らの責任と自覚に基づいて、主体的にまちづくりに参画できる町をめざします。
 吉川町には、新潟県自由民権運動発祥の地として、民主主義の伝統があり、全国に先駆けた、義務教育に関する住民負担禁止条例の制定、国際標準化機構(ISO)の14001認証取得などの実績があります。刻まれた歴史を礎に、わたしたち住民は、一人ひとりが住民としての誇りを持ち、人権が尊重され、住民の自治が保障される地域社会を創るため、この条例を制定します。

第1章 総則

(目的)
第1条 この条例は、吉川町で暮らすすべての住民が、健康で文化的な生活を営むことができるようにするため、住民自治に関する基本的な事項を定めるとともに、まちづくりにおける住民・議会・町の役割と責務を明らかにし、住民自治の実現を図ることを目的とします。

(用語の定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1)住民とは、吉川町に住所を有し住んでいる人々をいいます。
(2)町とは、議会を除く執行機関をいいます。
(3)住民自治とは、主権者としての住民が主体的に地域課題等の解決に向けてともに考え行動することをいいます。
(4)まちづくりとは、前文に掲げた理念を住民自治に基づき実現することをいいます。
(5)協働とは、吉川町を構成する個人や団体が、それぞれの果たすべき役割と責務を自覚し、相互に助け合い協力することをいいます。
(6)参画とは、町が実施する施策や事業等の計画策定、実施、評価等の各段階に住民が参加することをいいます。
(7)コミュ二ティとは、住民がお互いに助け合い、育み会う心豊かな生活を送ることを目的とし、自主的に結ばれた組織及び集団をいいます。

第2章 まちづくりの基本理念

(まちづくりの基本理念)
第3条 まちづくりは、住民、議会、町がそれぞれの果たすべき責任と役割を分担し、協働して進めることを基本とします。

第3章 まちづくりの基本原則

(情報共有の原則)
第4条 まちづくりは、自ら考えて行動するという住民自治の理念を実現するため住民は、まちづくりに関する情報を共有することを基本に進めます。

(協働の原則)
第5条 町は、住民の協働に支援して政策目標の実現に努めます。

第4章 住民の役割と責務

(住民の権利と責務)
第6条 住民は、住民自治の主体であり、まちづくりをする権利を有します。
2 住民は、まちづくりに関する情報を知る権利を持ち、まちづくりに参画する権利を有します。
3 住民は、社会的、経済的環境等の違いを越えて、まちづくりへの参加について対等平等であることを自覚します。
4 住民は、まちづくりの主体であることを認識し、まちづくりの活動において、自らの発言と行動に責任を持ちます。

(子どものまちづくりに参画する権利)
第7条 青少年及び子どもは、それぞれの年齢にふさわしいまちづくりをする権利を有します。

(コミュニティ)
第8条 住民は、まちづくりを支える自主的、自立的なコミュニティの役割を認識し、守  り育てるように努めます。
2 町は、コミュニティの自主性及び自律性を尊重し、非営利的かつ非宗教的な活動を必要に応じて支援するよう努めます。

第5章 町の役割と責務

(総合行政の原則)
第9条 町は、住民二―ズに的確に応え、政策目標実現のため、総合的な行政運営に努めます。

(町の責務)
第10条 町は、住民がまちづくりに参画する権利を保障するとともに、多様化、高度化する行政要望に適切に対応できる行政運営に努めます。
2 町は、住民との協働に必要な企画、調整能力を備えた町職員の養成に努めます。

(組織機構)
第11条 町の組織機構は、まちづくりや住民の多様な行政要望に柔軟かつ迅速に対応でき、住民に分かりやすいように編成します。

(コミュニティとの連携)
第12条 町は、住民の自主的、自律的な活動に対してその役割を理解し、必要に応じて支援、協働します。

第6章  議会の役割と責務

(議会の役割と責務)
第13条 議会は、町の議決機関としての責任を認識し、住民の意思が町政に正確かつ迅速に反映されるよう活動し、行政の監視機能を高めるとともに、住民の生活水準の向上に努めます。
2 議会は、議会運営の改革に努め、情報の公開と町民の参加を推進します。

(議員の責務)
第14条 議員は、町民の代表者として議事に参加していることを自覚し、審議能力及び
政策提案能力の向上に努めます。

第7章 まちづくりの基本システム

(総合計画等の策定)
第15条 町は、計画的な町政運営を図るため、基本構想、基本計画、実施計画(以下「総合計画」という)をまちづくりの基本理念に基づき策定します。
2 前項で定めた実施計画は毎年度見直しを行い、その進行管理に努めます。

(計画策定への参画)
第16条 町は、総合計画に定める重要な計画策定にあっては、あらかじめ次の事項を公表し意見を求めます。
(1) 計画の概要
(2) 計画策定の日程
(3) 予定する住民参加の手法
(4) その他必要とされる事項
2 町は、前項の規定により提出された意見について、採否の結果及びその理由を付して公表します。
3 町は、計画策定にあたっては、その計画の対象者の参画ができるように努めます。

(説明・応答責任)
第17条 町は、町政運営における公正の確保と透明性の向上を図るため、行政上の意思決定について、説明責任を負いその内容及び過程を明らかにします。
2 町は、住民の意見、要望、苦情等の申し立てに対して、速やかに事実関係を調査し、それに応答します。

(情報共有の推進)
第18条 町は、住民の知る権利を保障するとともに、町政に関する意思決定の過程を明らかにすることにより、町の仕事の内容が住民に理解されるように努めます。
2 町は、情報共有を推進するため、町の仕事に関する情報を分かりやすく提供するように努めます。
3 町は、作成する文書等は、住民に分かりやすい表現を用います。
4 町は、住民の意見や提言を町の仕事に反映するため、懇談会の定期的な開催に努めます。

(個人情報の保護)
第19条 町は、個人の権利及び利害が侵害されることのないよう個人情報の収集、利用、提供、管理等について必要な措置を講じます。

(評価)
第20条 町は、行政課題や住民要望に対応して、政策や事業に対して行政評価の実施に努めます。
2 町は、評価の結果について、分かりやすい形で住民に公開します。

(地域づくりの評価)
第21条 地域づくりの評価は、地域コミュニティが主体となって行い、状況の変化に照らし、最もふさわしい方法で地域づくりを継続します。

(予算)
第22条 町は、予算編成にあたっては、総合計画に基づいて行います。
2 町は、住民が予算に関する理解を深めることができるように十分な情報提供に努めます。
3 前項の規定による情報の提供は、町の財政状況、重点施策等住民が分かりやすいように努めます。
4 町は、事業の予定及び進行状況が明らかになるよう、事業の執行計画を定めます。

(決算)
第23条 町は、決算にかかわる町の主要な仕事の成果を説明する書類、その他決算に関する書類を作成しようとするときは、これらの書類が仕事の評価に役立つものとなるように努めます。

(財産管理)
第24条 町は、財産の適正な管理及び効率的な運用を図るため、財産の管理計画を定めます。
2 財産の取得、管理及び処分は、法令の定めによるほか、この管理計画に従って進めます。

(財政状況の公表)
第25条 町は、財政状況の公表にあたっては、別に条例で定める事項の概要及び見解を示します。

(住民投票)
第26条 町は、吉川町にかかわる重要事項について、直接住民の意思を確認するため、住民投票制度を設けるものとします。
2 住民投票の制度及び実施に関し必要な事項は、それぞれの事案に応じ、別に条例で定めるものとします。
3 住民投票制度に参画できる者の資格は、第2条第1号に定めた、18歳以上の住民とします。
4 住民投票を行うときは、町長は、住民投票の目的を事前に明らかにし、その投票結果を尊重します。

8章 住民との協働

(住民との協働)
第27条 町は、事業の実施にあたり、住民の力を活かした活動が協働して図られるように努めます。
2 町は、地域の問題を解決するために、コミュニティ等との協働を進めます。

第9章 連携

(町外の人々との連携)
第28条 住民は、社会、経済、文化、学術、スポーツ、環境等に関する取組みを通じて、町外の人々の知恵や意見をまちづくりに活用するように努めます。

(近隣自治体との連携)
第29条 町は、近隣自治体との相互理解のもと、連携してまちづくりの推進に努めます。

(広域連携)
第30条 町は、他の自治体、国及びその他関係機関との連携を積極的に進め、まちづくりに努めます。

(国際交流)
第31条 町は、自治の確立と発展が国際的に重要であることを認識し、国際交流に努めます。

第10章 まちづくり条例の位置付け

(この条例の位置付け)
第32条 住民、議会、町は、この条例を最大限に尊重し、まちづくりの担い手としてそれぞれの立場を理解し、協働しながら住民自治の推進に努めます。

第11章 この条例の検討及び見直し

(この条例の検討及び見直し)
第33条 町は、この条例の施行後4年を越えない期間ごとに、この条例が吉川町にふさわしいものであり続けているか検討します。
2 町は、前項の規定による検討結果を踏まえ、この条例及びまちづくりの諸制度について見直すこととします。

 附 則

(施行期日)
 この条例は、平成  年  月  日から施行します。

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