昨日から静岡に来て、第61回自治体学校に参加しています。今回の自治体学校のテーマは、「憲法と自治のチカラが地域の未来を切りひらく」。私は安倍内閣のもとで急速に人口減少が進み、地域が崩れてきているなかで、どうしたら今の事態を打開できるのかという意識を持って参加しました。新潟県からは、共産党上越市議団、長岡市議団、柏崎市議団のほか何人かの議員や自治体研究者などが参加していたようです。桑取出身の久保田上田市議とも会いました。
昨日は自治体学校の初日。静岡市民文化会館が会場で、全国各地から約800人ほどの人たちが集まりました。オープニングは地元静岡で活動する「静岡合唱団なかま」「川原太鼓保存会」などが盛り上げてくれました。一番最後の「憲法太鼓」が強く印象に残りました。
今回、自治体学校長を務めた川瀬憲子静岡大学教授が開校の挨拶に立ち、2004年前後の平成大合併以降の動きを振り返りながら、「三位一体改革や平成の大合併などが進められた結果、地域経済、地方財政、住民生活に大きなゆがみをもたらした。第二次安倍政権以降は『分権』というよりも『集権』という側面が強くなっている。地方分権や地方自治・住民自治という観点から見れば、時代錯誤のような事態が続いており、9条『改正』、緊急事態条項等を含む改憲の動きは、集権型の軍事国家の様相を呈している。この3日間、大いに議論し、学び合ってください」と訴えました。
記念講演の前に、今回は浜松市で水道民営化に反対し運動を進めている池谷たか子さん、「辺野古」県民投票の会の安里長従さん、離島をのぞき、全国で人口が一番少ない高知県大川村の和田知士村長の3人が特別発言をしました。安里さんが訴えた住民投票の持つ意味、辺野古基地問題解決の道などは考えさせられました。大川村長の人口400人を維持する取組にも注目しました。
基調講演は自治体問題研究所理事長の岡田知弘京大名誉教授。今回の学校のテーマである「憲法と自治のチカラが地域の未来を切りひらく」というタイトルで、安倍政権下における地方制度改革の歴史的文脈、「公共サービスの産業化政策」から「デジタルファースト」構造改革徹底推進、「自治体戦略2040構想研究会」第2次報告の概要と問題点、対立軸の鮮明化、一人ひとりの基本的人権と福祉の向上をめざす地方自治・地方再生の対抗構想などについてたっぷりと語りました。
この講演で学んだことについては時間をかけてまとめたいと思いますが、注目したことがいくつかあります。
そのひとつは2014年の「増田レポート」の役割についての言及です。道州制推進基本法案の国会上程が出来ない事態が続く中で、その打開策として「変化球を投げた」という指摘です。この点は増田レポートは、なぜ人口減が起きているのかというところをしっかり分析しないで不安だけをあおるという指摘とともに、その後の展開をみたときに頷けます。
2つ目は「自治体戦略2040構想研究会報告」などへの自治体関係者からの猛反発です。私の市議会一般質問での市側の答弁は、全国市長会などの批判は手続きに関するものといった趣旨だったと記憶していますが、そうではなく中身に対する猛烈な批判が起きていたことを知りました。その典型例が「ガバナンス」2018年9月号による総批判。これはじっくり読んでおかなければなりません。
3つ目は小規模自治体が取組が「増田レポート」への反証となっていることです。宮崎県西米良村は、厚生省人口研の将来推計人口は2010年で748人だったといいます(1994年時点での推計)。それが実際はどうなっているかというと、2013年4月の人口は1249人だというのです。同村は「住民の幸福度をあげること」を村づくりの目標にし、第三セクター「米良の庄」による村づくり事業と雇用の創造などで成果をあげてきたといいます。小規模自治体の取組に改めて学ぶ努力が必要だと思いました。
夜は夕飯を食べた後、岡田知弘さんの新刊、「公共サービスの産業化と地方自治」(自治体研究社)を半分くらい読みました。講演の中身を再確認する意味でも役立ちました。