おはようございます。今朝は寒いですが、いい天気になりました。青空が広がっています。写真はまだ撮っていません。
昨日は午前が会議、午後からは松之山にて雪シンポジウムでした。新潟大学農学部・伊藤亮司研究室と十日町・津南地域自治研究所の共催です。松之山を中心に70人ほどが参加しました。
シンポでは新潟大学農学部の伊藤亮司先生が、「雪アンケート結果から見えてきた松之山の暮らしの課題と行政への期待」と題して基調報告しました。雪アンケートというのは、今回のシンポを共催した2つの組織が昨年11月に旧松之山町の地域でとった雪に関する調査です。781枚を配布し、なんと393枚(50.3%)の回答が返ってきたといいます。
基調報告の中で伊藤先生は、「松之山の今は日本の縮図であり、これから高齢化がますます進み、暮らしに係わる諸問題が噴出する。その解決は国民的課題だ」「家族・住民同士の助け合いが住民生活のインフラだったが、限界に近付いている。地域力が弱体化する中で行政などとの協働が重要になっている」「自然環境など松之山の持つ本来の良さを活かした小さなムラ・マチでも暮らし続けられるシステムが求められている」などとのべました。
基調報告後、長野県栄村の元村長、高橋彦芳さんが栄村雪害対策救助員制度の創設と実践について報告、十日町市役所松之山支所長の佐藤仁さんが松之山地域の雪対策について実情を明らかにしました。また、新潟大学農学部のむらづくり研究会の篠崎万智子さんが、アンケート調査活動に協力した感想などを語りました。
90歳だという高橋さんが、雪害対策救助員制度創設に至る経過と実践についてA4のペーパー3枚にまとめてこられたのには驚きました。松之山支所長の佐藤さんの話は初めて聴きましたが、じつにさわやかな語り口で、十日町市の要援護世帯除排雪援助事業と集落安心づくり事業が補完しあっていることなどについて説明してくださいました。新潟大学農学部3年生篠崎さんは、パワーポイントを使って雪アンケートについて語りました。回答を寄せてもらうために1軒1軒声をかけて手渡してきたこと、アンケートの回答の中に「冬はお茶をして、春を待ちます」「ワラ細工や編み物の趣味を楽しみます」など冬を肯定的にとらえている住民がいることも明らかにしてくれました。
参加者とのやりとりで注目したことの1つは、「雪は資源である」という視点で活用を考えるべきだという発言です。この発言をした人は、「魚野川、信濃川(河川敷?)にある大規模な雪捨て場5か所だけで5億円から捨てている」「1000トンの雪を集めると約100万円の価値がある」などと試算し、雪エネルギーの活用を訴えました。
松之山支所長の佐藤さんが、除雪車オペレーターなど除雪要員のなり手がなくなってきていること、旧松之山地域に普及しているブルが更新の時期を迎えているものの、更新できない状況となっていることにふれたことも注目しました。上越市の大島や牧などでも同じ問題が出ているからです。佐藤さんが訴えておられたように、国などに働き掛けていく必要がありますね。
栄村の高橋元村長さんが野々海池開発の歴史について語ってくださったのも感動モノでした。(昭和?)20年代に造られたこの池は、高橋さんの言葉を借りれば、「天空の湖」で、雪が降ってこそ水がたまる池です。春に行ってみると、雪解け水、320万㎥をたたえ、80㌶の田んぼを潤しているということでした。高橋さんは信濃川での水力発電についても触れました。
雪シンポの会場は松之山自然休養村センター大会議室でした。このシンポに合わせて、写真展「雪国松之山の自然と暮らし」が開催されていました。地元に在住する写真家、2人の作品です。雪国の暮らしの厳しさを撮ったもの、楽しさや冬の美しさを切り取ったものなど、いずれも素敵な作品でした。
そのひとり、小見重義さんの作品には56豪雪の時の写真コーナーがありました。まさに雪と闘う姿が中心で、雪国の暮らしの厳しさを写しているものが何枚もありました。一方、家の中での餅焼きや小正月行事などのうれしい、ホッとする風景の写真もありました。出稼ぎやカヤぶき屋根の葺き替え作業の写真は懐かしかったですね。
もうひとり、佐藤明彦さんの写真は初めて出合いました。カラー写真もあって、雪の晴れ間の美しさ、楽しさを表現しているものが少なくありませんでした。杉林の白い雪と青空、私はそれを見るだけでも元気が出てきます。私の大好きな風景がいくつもありました。
活動レポート1884号、「春よ来い」の第532回、「春よ恋」を私のホームページに掲載しました。ご笑覧ください。