域学連携を考えていくとき、いま大学はどういうふうになっているかを知ることは大事なことのひとつです。昨日は2000年に開校した別府市の立命館アジア太平洋大学を視察させていただきました。
私は新潟県内の国立大学、私立大学の一部しか知りませんので、率直に言って、「こんな大学もあるのか」と思いました。約90の国から学生たちが集まっていて、教師陣も半数は外国人。構内では学生たちだけでなく、地域のたくさんの子どもたちや大人たちの姿もある。学生たちの出身地を紹介するイベントもやる。いまは京都ウイークだとか。屋台も並んでいました。
視察ではまず、牧田正裕学生部長から大学の設立に至る経過や現状、どんな大学づくりを目指しているのかなどをお聞きしました。
この大学は大分県、別府市と立命館大学が中心になり、様々な企業、団体などの協力のなかで創立されました。平松知事(当時)としては、いまで言う地方創生の総仕上げとして大学誘致を考え、立命館としては創立100周年でもあり、福沢諭吉の故郷で何かをやりたいという気持ちがあったといいます。「21世紀はアジア太平洋の時代だ。それにふさわしい大学をつくろう」と動きがはじまり、各種反対運動もあったけれども2000年にはアジア太平洋地域を担う国際的人材を育成する大学として設立にこぎつけました。当初の目標は、世界でも類をみない多文化キャンパスを実現し、アジア太平洋地域の未来を担う人材を育成することにおきます。いま、学生は6000人弱、その半分は韓国、中国など世界各国から来た外国人です。
牧田部長の話では、「大学が地域にあるとこんないいことがあるということを意識して取り組みを始めた。小中高の児童生徒の大学訪問は年間1万人を超えていて、ここへ来れば、外国人と英会話体験ができる。学生の力をいかに地域に還元するかだ。別府市の人口は13万人だが、その5%は大学にいる。言葉の違いを心配する人もいるが、すぐに解決できる。スリランカの学生は半年で日本語がぺらぺらだ。ここの学生は濃密な人間関係の中で成長するから、この大学は“第2の故郷”になる。だから校友1万5000人が学園祭や休暇中に“別府に帰ってくる”」ということでした。
その後、スリランカ、中国、日本の学生数人から学内にある図書館、イベント広場、学生寮などを案内してもらいました。図書館は学びの空間としてとても賑わっていましたね。みんなが楽しく、助け合って、勉強をしている、そういった印象を持ちました。学生寮は建物ごとに男女別だと思いきや、そうではなく、階ごとに女性だけのところ、男女が同じ階でも区分してあるところがありました。これまで知っていた大学の寮とは全く違いましたね。
走り書きしましたが、これからの大学はこんなふうに変わっていくのかも知れないと思いました。