おはようございます。今朝は長崎県は対馬市からの発信です。上越市でも取り組まれている地域と大学が連携した地域づくりをさらに発展させるためにはどうしたらいいのか。そんな問題意識を持って、域学連携の先進地のひとつである長崎県対馬市を昨日から訪問しています。
ツシマヤマネコについての研究をしていて、13年前に対馬市に移住したという対馬市しまちづくり推進部の前田剛さんから同市の取り組みの説明をしていただきました。
説明を聴いて認識を新たにしたのは、域学連携は単なる地域づくりの手法ではなく、人口減少などによって衰退の一途をたどる地域、自治体が生き残っていく可能性を高めていく理論と実践であることです。
対馬市全域を大学の「対馬学舎」として位置付けるなかで、年間約500名の学生と約100名の研究者が島にやってきて、「少子高齢化問題や環境問題などの現状を学び、身近な問題としてとらえるようになった」「地元の住民は対馬の魅力を再確認し、自分や対馬の未来を深く考えられるようになった」などの変化が生まれています。「対馬学フォーラム」も地元内外から300人も集まるそうです。そしてびっくりしたのは、島へやってきた学生や研究者のなかから何人もの有能な人たちが次々と移住していることです。島の出身でない人が島のために頑張っていてくれるのに地元の若者が立ち上がらないでいいのかと言って、対馬を見直す動きも出てきています。対馬市が域学連携を市政の重点に位置づけ、そこでの成果を市の諸政策に反映させようとしている点は大いに学ばなければなりません。
前田さんの説明の中で印象に残ったことのいくつかの発言を記録しておきたいと思います。前田さんは「対馬に惹かれた大きな理由の一つは島に住む人たちのやさしさです。なぜやさしいのか。それは島という厳しい環境の中で助け合って暮らしてきたからではないか」とのべました。これは雪国の山間部で暮らす人のやさしさと共通することだと思いました。いまひとつ、「人口の1%が変わるだけでも、全体が変わっていく」という言葉です。域学連携の取り組みの中で有能な人材が育ち、確保されつつあることの自信の表れだと思いました。話の中では、(社)中越防災安全推進機構の稲垣文彦さんの「足し算の支援」理論も紹介されました。「まず地域に寄りそい、地域がプラスの状態にならなければ、いくら掛け算をしても良くならない」。勉強になりました。
きょうはこれから九州です。別府市などへ行きます。写真は夜に追加します。