おはようございます。まずは昨日お約束した15日の市議会災害対策特別委員会の報告から。この日の特別委員会では、上越市地域防災計画の原子力災害対策編の見直しについて防災危機管理部の永野部長、笠原防災計画課長が説明し、質疑が行われました。
行政側は原子力災害対策編見直しのポイント、想定する原子力災害の初動~応急対策の流れについてパワーポイントを使って説明しました。原子力災害対策を実施すべき地域については、上越市全域が対象です。柏崎刈羽原発から距離に応じて即時避難区域(PAZ)、避難準備区域(UPZ)、屋内避難計画区域(PPA)が図示されましたが、約20万人の上越市民のうち避難準備区域に住む人たちは約1万8700人ということでした。計画では、県内市町村、県、国などと連携して「市民を被ばくから守る計画的な広域避難」の実現をめざすということで、緊急時モニタリング設備と体制の整備、緊急医療体制の整備、計画的な広域避難を実現していくとのことでした。説明に使ったスライドは当日の朝2時過ぎまでかけて作られたものですが、わかりやすく作成されていて、感心しました。
今回の説明で注目したことを箇条書きにすると、
●県と市が分担して広域的なモニタリング体制を構築する。モニタリングポストは県が県立久比岐高校ともう1カ所に設置。市は、校庭、公園、側溝など身近な場所のモニタリングを行う。
●市は県が行う緊急被ばく医療に協力するため、健康管理、汚染検査、除染等の専門的な研修及び訓練に参加するなど人材育成に努める。
●屋内退避を基本とし、緊急時モニタリングの結果によって段階的に避難を開始。避難は町内会単位で行う。避難先はUPZ30km圏外の他市町村を前提とし、SPEEDIネットワークシステムも活用し必要に応じて県外避難も。避難の交通手段としては自家用車を基本とするが、バス、鉄道、船舶等の多様な避難手段を確保する。
●段階避難パターンの想定にあたっては、SPEEDIの予測結果を表示するベースとなる16方位円を基本に11のパターンに区分する。上越市はこのうち、3つのパターンに該当する。
●想定する原子力災害の初動については、原発の事故・故障または大規模自然災害の発生など警戒事象の段階、一定量の放射性物質漏れなどが確認された特定事象の段階、原子力緊急事態宣言が出された段階に応じて対策が講じられる。
●オフサイトセンターに設置される災害対策本部には副市長など当市スタッフも入る。
質疑では日本共産党議員団の上野公悦委員が、「一人の被ばく者を出さずに安全に避難できることが大事だが、避難を想定している人の数からいって到底不可能ではないかと思う。風向き次第で変わるということや雪の問題もある。どう思うか」「良く作られてはいるが、机上の空論という気がする。再稼働を認めないという立場に立たないと実効性のあるものにはならないのではないか」「オフサイトセンターに派遣される職員の権限と役割がわからない」などと質問しました。
避難できるかと訊かれ答弁に立った笠原課長は、「町内会単位で避難するにしても、6人の町内会もあれば、3000人の町内会もある。避難は困難を極める。実効性のあるものにするにはこれから詰めていかねばならない。当日にならないとどこに逃げたらいいのかわからないこともある。そういうことも想定しながらいざという時に備えていく必要がある。避難出来るのかと言われても、今の段階で出来るとは言えないが、何とか実効性のあるものにしていかねばならない。県内の他の自治体とも協力して一生懸命やっていきたい」と答えました。再稼働の問題については、野口副市長が立ち、「ここで答えられる立場にない」と答弁を避けました。災害対策本部が設置されたときのオフサイトセンターについては笠原課長が、「副市長などのスタッフが入り、情報共有を図っていく。連絡機能もきちんと担保出来るようにしていきたい」と答えていました。
原子力災害対策は市民の暮らしと安全を守る上で最重要課題の一つです。今後も引き続き議論していかなければなりません。
さて、昨日は新潟市でにいがた自治体研究所の総会と講演会でした。改憲と道州制導入の動きが強まっていること、指定管理者制度の抜本的な見直しが求められていることなどを学んできました。神奈川自治体問題研究所の角田英昭さんの講演でびっくりしたのは、総務省が昨年11月6日に発表した指定管理者制度の導入状況調査結果です。指定取り消しなどの理由、指定取り消し後の管理を見ると、指定取り消し、業務停止、期間満了取り止めが激増し、多くの施設が休止・廃止、民間譲渡などに追い込まれています。「指定管理者制度は事実上破たんしていて、実態的には行政による公の施設の仕分け、再編・整理の手法になっている」という角田さんの指摘はその通りだと思いました。上越市における公の施設の再配置、指定管理者制度の状況についてもしっかり実態を抑えて発言していきます。
きょうは、午前中に原稿書きをし、午後から上野議員の地域の「新春の集い」に参加する予定です。