今ほど市議会で「柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に関する意見書」が賛成多数で採択されました。この主たる内容は、「再稼働には不安も多く、新潟県内においても県技術委員会が独自の検証を進めていますが、現段階において、柏崎刈羽原発の再稼働には問題があり、隣接自治体である上越市の議会としても市民の安全安心が確保されるまで、同原発の再稼働には賛同できるものではありません」というものです。この意見書に反対した議員は、田中聡、山崎一勇、塚田隆敏、笹川栄一、佐藤敏の5議員でした。
既報の通り、午前の本会議で「つなげよう脱原発の輪 上越の会」(代表 植木史将さん)が提出した「柏崎刈羽原発の再稼働を認めないよう求める」請願は賛成少数で不採択となりました。同請願は、「福島第一原発の1.8倍で日本一の規模と言われている柏崎刈羽原発は、中越沖地震で甚大な被害を受け大事故寸前になった。そして柏崎刈羽原発の周辺には活断層が存在し、今でも原発の構造上絶対に安全とは言い切れない状態だ」「にもかかわらず、政府と東京電力は柏崎刈羽原発の再稼働を計画している」が、「市民の生活と市民の生命を守るために、再稼働反対の明確な意思表示を求める」というものでした。つまり、現段階だけでなく、ずっと再稼働させてはならないという内容でした。この請願に不採択の立場をとりながら今回の意見書に賛成した人たちは、「このままでは市民に対する説明責任が果たせない」「上越市議会が(現段階でも)再稼働に賛成と思われてしまう」とのべていました。私たち日本共産党議員団では、先ほどの請願内容よりもトーンダウンした内容ではあるものの、再稼働反対に一定の役割を果たすものと判断して賛成しました。
意見書の全文は以下の通りです。
柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に関する意見書
東日本大震災に伴う福島第一原発事故は、立地自治体初め、周辺地域十数万人の市民が放射能汚染からの避難を余儀なくされました。事故後、1年半を経過した今も、新潟県内や当上越市への避難者の帰還目途が立っていません。
事故検証作業のため、本年7月末までに民間・国会・東電・政府の各事故調査委員会の調査報告書が出そろいましたが、電源喪失等の事故原因に対するそれぞれの検証結果は見解が分かれており、かつ放射性物質の漏出特定箇所の断定には至らず、いまだ真相解明がほど遠い内容と言わざるを得ません。
そして、何よりもこの事故検証を受けて、原子力防災対策の見直しや放射能汚染防止のための法的枠組み等、今後の原子力安全対策の全ての指針が確立されたわけではなく、全国の原子力発電所に対する国民の不信と疑問が払拭された状況にありません。
このような中、去る5月、東京電力が2013年度中に柏崎刈羽原発の再稼働等を盛り込んだ「総合特別事業計画」を策定し、政府はこれを認定しました。これを受け、東京電力は同原発の来年度からの再稼働に向けた準備を進めています。
しかし、再稼働には不安も多く、新潟県内においても県技術委員会が独自の検証を進めていますが、現段階において、柏崎刈羽原発の再稼働には問題があり、隣接自治体である上越市の議会としても市民の安全安心が確保されるまで、同原発の再稼働には賛同できるものではありません。
よって、国及び県におかれては、同原発の再稼働の判断に対しては、さらなる徹底した検証と慎重な対処をされるよう強く求めます。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。
平成24年12月17日
上 越 市 議 会