以下の文章は鴨川市で朝書いたものですが、ホテルからの発信はできませんでした。先ほど、家に戻ったところです。
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千葉県鴨川市からの発信です。昨日から中山間地対策特別委員会の視察で房総半島に来ています。ホテルの窓からは太平洋が見えます。波の音を聴きながら書いています。
昨日の視察は鴨川市釜沼北集落を訪問し、農家・非農家が力を合わせて集落を維持、活性化させている取組について学びました。具体的には、中山間地域等直接支払制度を活用した農道、用水路の整備、棚田オーナー制度の活用、都市との交流についての経験を話してもらい、勉強しました。
釜沼北をはじめこの付近は海底が隆起してできたところ。海岸部から少し平地があって、そこから奥は一気に急斜面となっていて、そこに田畑があり、山林があり、集落がありました。区長の高梨利夫さんは、「ここは粘土質で米はうまい。しかし、天から降った水を頼りに耕作しているので夏は苦労している。農業はきびしい。高齢化も進み、担い手は昭和ひと桁世代が主流。なるべく手をかけないで耕作できるよう水路などの整備をすすめてきた」と話しました。水路にゴミをためないための溝蓋整備は500枚以上になったということでした。上越市でも取り組んでいますが、中山間地域等直接支払交付金をどう活用したかを詳しく語っていただきました。
昨日の研修で注目したのは、13年前に釜沼に移住してきた林良樹さんの話です。林さんは13年前、6物件に対して300名の応募がある中で現在の家を獲得しました。応募者の中で30代は林さん一人だったといいます。50アールの土地を貸してもらい、古い農機具も譲ってもらいました。そして農業をやりながら、都市交流などに意欲的に取り組んでいくことになります。
林さんは、「小さな面積では生活できないので都市との交流に力を入れることになった。地域の炭焼き農家などいろんな人が先生になって持続可能な暮らしを学んだ。3.11以後、これからは自分の身を自分で守ろうという人が爆発的に増えている。農とか土などが注目されているが、そういうエネルギーを、山の再生に活かしていきたい」とのべていました。林さんによると、釜沼を含む大山地区は「ナンバーワンの限界集落」。でも、棚田オーナーなどの8割はリピーターで、都市部から通ってくる人が増えてきていて、「血縁を超えたふるさとづくり」が始まっているといいます。「通うことでゆっくりと移住する。そういう人が増える中で、都市と農村がグラデーションのようにつながっていけばうれしい」とも語っておられました。昨日の林さんの言葉の中で印象に残ったのは、「ゆっくり移住する」「農村社会は信頼で成り立っている」「交流事業が人口を増やす」。高梨さんや林さんの話を聴いて、上越市での取組のヒントをもらったような気がします。
昨日は話を集落のセンターでお聴きした後、棚田オーナーの取組をしている田んぼや炭焼き風景、ミカン畑などを訪れ、目での研修も行いました。写真は高梨さんや林さんから棚田の説明を聴いているところ、炭焼き小屋、棚田百選に入っている大山千枚田です。