2012年10月2日午後9時38分。新潟県上越市の地域協議会史上、画期的な判断が高田区地域協議会(西山要耕会長)によって下されました。高田公園内に(仮称)厚生産業会館を設置する基本構想(案)について市長の諮問にノーと答申することにしたのです。2回にわたる慎重審議をしたうえで、採決した結果、賛成2人、反対は13人と反対が圧倒的でした。写真は採決の瞬間です。
この日、高田区地域協議会は午後6時に開会し、「(仮称)厚生産業会館の基本構想(案)について」の諮問については3時間半以上にわたる審議を行いました。都市整備課、公民館、子ども課等の説明に対する質疑が行われた後の意見集約では、全委員が発言し、この問題について思いを語りましたが、いまの時点での建設は時期尚早だという声がほとんどでした。
私のメモをもとに主な発言を紹介します。
●子ども施設はお粗末に感じた。なぜ造るべきかの必要性、原点が欠けている。
●プール跡地ありきで進んでいることに抵抗感を感じた。この街に住むことに誇りを持って、どういう街をつくっていったらいいか考えなければならない。新幹線の乗客が降りる街は文化のある街だ。文化のない街に人は降りない。こういう時代だからこそ郊外化の波を食い止めなければならない。最初からここにするという前提のものは敬遠すべきだ。
●いまは造る必要がない。もっと財政的な余裕がある時に造るべきだ。中身的にも目的に合った場所、施設になっていない。時期尚早だ。
●造ることの意味、疑問だ。片方で将来的に80億の赤字になると言いながら、地域事業費制度を見直し、高田地区には新幹線の駅もでき、厚生産業会館もつくるというのは13区に不満がある。高田地区の住民としてはほしいけれども、本当に市民がほしがっているか煮詰める必要がある。
●中心市街地は通るたびにさびれていく感じだ。車で行ける場所はたくさんある。もう少し時間をかけて決めるべきで、時期尚早だ。財政もそんなに楽じゃない。
(仮称)厚生産業会館の建設は市長の選挙公約の一つでした。しかし、市民の中には財政事情の厳しい中、いまの時点でこの施設を建設する必要があるかどうか、市民の声を十分聴くべきだという声が多数ありました。建設が予定されていた高田区においてもそうです。高田区地域協議会はこうした声を受け、良識ある判断を下したと思います。建設ノーの答申は市政を大きく動かす一歩となることでしょう。同協議会では、近いうちに今晩出された反対理由を整理し、市長に答申を提出するということです。