上越市議会の厚生常任委員会は22日、市内の老人福祉施設協議会に加盟している施設の施設長、事務長など12人と意見交換会を行いました。同委員会がこうした人たちと意見交換会を行うのは今回が初めてです。今回の意見交換会では、介護保険制度や施設運営の現状と課題などについて意見を出し合いました。
冒頭、柳沢委員長は挨拶に立ち、「これまで委員会では、医師会など3団体と意見交換会をしてきた。いずれも所管する分野の現場の共有ができた。今年度、市の介護保険料は3割値上げがされた。このことの反響が大きく、市民からは原因と対策を問う声が多い。現場の実態と課題を浮き彫りにできればと考えている。また、介護保険や施設などについて、これからの在り方についても率直なご意見をお聞かせ願いたい」と今回の意見交換会の趣旨を説明しました。
続いて施設側部会長の特別養護老人ホーム、「さくら聖母の園」の松矢園長が現況報告を行いました。このなかで松矢園長は、「各施設ごとにいろいろな問題がある。とにかく現場を見ていただきたい。4月に介護報酬が改訂された。新聞は1.2%介護報酬アップと書いたが、現実は違う。1割近いダウンだ。介護職員処遇改善交付金は前回の衆院選で、民主党のマニフェストでは1カ月に4万円にアップ、自民党のマニフェストでは1万5000円だった。実際は1万5000円にもならなかった。そして、今度の介護報酬の改定で、これまで別枠であったものを介護保険料に入れた。ごまかしの政治だ。いま、施設はどんどん増えているが、看護職員が足りない。看護師がいなければ、施設は成り立たない。通所で6割の人が利用していれば経営は成り立つという人もいるが、とんでもない。損益分岐点は7.5割だ。私たちは霞を食って生きてはいけない。今回の会合を契機にぜひ施設を見ていただいて、足しげく通っていただき、協議を進めていきたい」とのべました。
意見交換のなかでは、「施設の利用者が重度化してきている。胃ろうの人も一気に増えてきた。看護師は奪い合いになっている。5年後、10年後を見据えて、子どもの時から関心を持ってもらえるようにしてほしい」「介護職員の専門性が求められている現実があることを理解してもらいたい」「経営費のなかでの人件費比率は70から75%だ。安定経営のためにはこれを改善しないとやっていけない」「居宅サービス、施設サービス含め、利用者と施設側がマッチングできるようなネットワークを」「職員の定着率は3年から5年、長くて7年だ。処遇改善が必要だ」「施設の中での見取りについても理解してもらうことが大切ではないか」などの声が出ました。
今回の意見交換会で出された意見や提案は、私の勉強不足もあるのか、初めて聞くことがたくさんありました。また、施設経営に携わっておられる人たちの苦労は並大抵ではないこともわかりました。今後は、きょう出された意見や提案を利用者の立場から見てどうなのか、しっかり議論していくことが必要だと思いました。