ひと山越えると盆踊りも違うものだと思いました。大島区田麦の盆踊り大会を観た感想です。吉川区内での盆踊りでは十三夜を中心に、平成音頭とか佐渡おけさなどいくつも踊りますが、ここでの踊りの唄はションガイ節ただ一つ、これを約1時間、延々と踊り続けるのです。
田麦観音堂境内で行われた盆踊り大会は午後8時頃から始まりました。心配された雨も上がり、太鼓が櫓の上にあげられると、男衆と女衆、それぞれ一人が向かい合って太鼓をたたき続けます。そうですね、10分くらいは太鼓をたたいていたのではないでしょうか。太鼓の音で人を寄せるので「寄せ太鼓」といいますが、確かにこの音が聞こえてくるとそわそわしてきます。息が合った二人の寄せ太鼓をお聴きください。
踊りはションガイ節。櫓を捲くようにして貼り付けられた白い布には、この唄の文句が書かれています。
歌い手の人が歌う文句はここに書かれたものと同じのがほとんどでしたが、若干違うところもありました。歌い手さんの創作部分もあるのかも知れません。「ションガイ、ションガイヤー」で始まる唄は農村の暮らしのなかで歌い続けられてきたものです。「物にたとえて申すなら 山には木の数 草の数 里では田の数 畔の数」「寺の大門 松の木の まつ虫 鈴虫 クツワムシ」などの文句は農村の暮らしそのものを表現しています。そしてちょっとあやしげな文句も……。唄は一節ごとに「ヨイヤナー、ヨイコラセー」などの合いの手も入るので、ずいぶん長く感じました。
踊りを楽しむ人たちは徐々に増え、踊りの終わりのころには百数十人に膨れ上がりました。踊りの輪の中には地元に住む人はもちろんのこと、旅から戻ってきている人も入ります。よそから来ている親戚の人もです。そして大人も子どももみんな一緒に踊る、いいもんですね。小さな子どものなかには踊りの輪の周りを駆け巡る子もいました。神社への階段を少し上ったところで踊りを撮りました。暗くて、ほんのちょっぴりしか見られないかも知れませんが、動画でごらんください。
盆踊り大会の最後はお楽しみ抽選会です。歓声があがる場面もあれば、ため息が出る場面もあって、とても楽しい抽選会でした。