昨日から2日間、静岡県浜松市で開催されている第54回自治体学校に参加しています。上野公悦議員と一緒です。
自治体学校は地方自治の様々な問題を自治体職員や議員、研究者などが学びあう場。今回の学校長は『集落再生と日本の未来』(自治体研究社)の発行以来お付き合いをさせてもらっている徳島大学の中嶋信名誉教授です。中嶋教授は、フランスの詩人、ルイ.アラゴンの詩の一節、「教えることは希望を語ること/学ぶとは誠実を胸に刻むこと」を引用し、「自治体学校は希望を語り、誠実に学ぶ人の共同体だ」と訴えました。
昨日はアクトシティ浜松・大ホールでパネル討論と総括講演が行われました。このうちパネル討論では、「みんなでつくるホンモノの地方自治」をテーマに学校給食現場で働く宮下早紀子さん、福祉事務所で働いている渡辺潤さん、商工業者の運動をやっている印刷屋さんの服部守延さん、ふくしま復興共同センター事務局次長の小川英雄さんがそれぞれの分野の実態を報告するとともに、自治の在り方を語り合いました。コーディネーターはNPO地域づくり工房の傘木宏夫さんでした。
印象に残った言葉をいくつか紹介したいと思います。まずは浜松市の宮下さんの言葉です。「大合併の中で現場が見えにくくなっているのではないか。議員も本当のことを知っている人が少ないのでは……。民間委託が進む中で、野菜が煮えていないものがある、お焦げがあることもある、本当にそういうことがあるのかという質問があったが本当です」。上越市ではいま、総合事務所や木田庁舎などでの職員定員管理が大きく動こうとしていますが、「現場をしっかり見る」「現場がちゃんと見える」仕組みづくりの大切さを再認識しました。
福島の小川さんの言葉。「決定的に遅れているのは生業の再生だ。6万人が仕事を失っている。賠償と共に仕事を。メガソーラーでなく、もっと小さな太陽光発電などを動かしながら仕事を生み出せるのではないか」「36年前、安田さんなどが福島原発差し止め訴訟をやった。その時に言っていたことが全部事実になった。誰でも参加できる原発ゼロの運動をしていきたい」。小発電と雇用確保についてもっと深く勉強せねばと思いました。36年前の福島原発ストップ求める訴状、これも読んでみたい。
稲沢市の服部さん。「経済活動を維持する役割を担うのは、農家や商工業者、地域金融機関、そして地方自治体だ。これらの経済主体が地域内で繰り返し投資を行うことで、ヒト・モノ・カネが循環する社会が実現する。中小企業振興条例は重要だ」。岡田知弘京大教授と同じ「地域内再投資力」理論を地域で印刷屋さんをやっている人が語った。これはすごいことです。
もう一人、東京は大田区の渡辺さんは言葉より歌で強烈な印象を残しました。今年1月札幌市内で40代の姉妹が病死・餓死した事件は記憶にあると思います。本来、命を守る砦であるはずの福祉事務所が「市民の命を奪う」ことにつながる対応をした。この二人の死を無駄にしてはいけない、本当の絆が地域、行政にあればという思いで、「傷名(きずな)」という曲を作り、大ホールで披露したのです。こういう討論の場で歌を歌う人がいるとは……。歌詞も歌唱力も抜群でした。