北海道は札幌市内のビジネスホテルからの発信です。市議会総務常任委員会の視察で昨日、北海道にやってきました。今回の視察では、電子自治体の取組や原子力防災対策などについて学びます。視察は明日まで。
昨日は午後3時過ぎから北海道庁で、官民連携した電子自治体化の取組について説明していただき、質問や意見交換をさせてもらいました。
この取組を学ぼうとしたのは行政改革の推進というよりも防災対策の観点からです。昨年の大震災では、東北の多くの自治体庁舎が被災し、住民基本台帳や納税などの電子情報を失ったということがありました。住民サービス提供に大きな支障が出たことは言うまでもありません。それを防ぐために、各自治体による情報の個別管理から官民連携の会社(株式会社HARP)を立ち上げて共同管理していく。北海道独自のこの方式はいま全国的に注目を集めています。
北海道では2003年頃から国の「e_Japan戦略」など電子自治体推進方針を受けて、「住民サービスの向上」「行政の効率化」「地域経済の活性化」を目的に官民連携による電子自治体共通基盤『北海道電子自治体プラットホーム』の構築を始めました。簡単に言うと、道や市町村が電子自治体実現に向けて必要なシステムの構築や運用を民間とも連携しながら共同で取り組むということです。
この取組の核となるのは株式会社HARPと北海道電子自治体運営協議会です。株式会社HARPは民間会社5社と道などが参加してつくった第三セクターで、自治体側では北海道のみが出資しています。運営協議会は道内の179自治体のうち、177自治体が参加しているそうです。現在、北海道と株式会社HARPでは、連携基盤の構築やふるさと納税、人事給与、財産管理などのシステムづくりと実証・評価などに取り組んでいるということでした。
北海道方式の説明を聴いて、確かに災害対策としては有効であると思いました。パソコンと通信回線さえ確保できれば、よその施設や自宅からデータセンターに接続して業務を継続できますし、他自治体からの支援も容易となります。また、共同利用により経費の削減もできることもわかりました。7つの町村が参加している留萌地域電算共同化推進協議会の取組では、41%もの費用を削減できたといいます。ただ、懸念する点もありました。その一つは、自治体主導が貫けるかどうかです。本来自治体だけでやるべき取組、サービスですが、スキルを持った民間と一緒になる中で果たして自治体主導で進められるのか、疑問が残りました。また、災害によるリスクを分散し、サービス提供を続けることが可能というものの、データを集中することによって、逆にリスクが大きくなる心配は本当にないのか、その点もすっきりしませんでした。もっと勉強しないといけないなとあらためて思った次第です。