昨日、久しぶりに県議会を傍聴してきました。県議会を傍聴したのは旧吉川高校の醸造科廃止問題の時以来ですから、おそらく20年、ひょっとするともっと経っているかも知れません。昨日は市川政広、小山芳元、竹島良子の3議員が原発問題や並行在来線問題などで質問を行いました。議場の高い傍聴席からは執行部側と最前列に座った議員しか見えませんでした。知事答弁は全体として長く、わかりにくい。そして何よりも質問にズバリ答えないという印象を持ちました。市川議員が「もっとわかりやすく」という言葉を連発していたのもうなずけます。
竹島議員の質問は原発、医療、並行在来線問題の3本立てでした。いずれも良く準備されていて、聴きやすかったですね。聴きやすいというのは、声がよく通っていることもありますが、何よりも質問の展開がきれいでした。こういうところはしっかり学びたいものです。
さて、質問の中身の感想です。大飯原発の再稼働について、竹島議員は強く抗議する言葉をのべたうえで、福井県知事の再稼働同意に対する知事の所感を問いました。泉田知事は、再稼働について「今回の再起動にかかる手続きで象徴的なことは、原子力安全委員会の委員長が、安全を確認しないと明言していることだ。万が一事故が起きた時にどうするか、防災計画もできていない。安全性を確認したという前提で手続きが進められたことで誠に遺憾だ」と批判しました。これだけ明確に問題を指摘しながら、その後で、「一方で、住民の暮らしに責任を持つ福井県知事が原子力発電所の安全性、生活や経済への影響など、どういう情報に基づいて同意されたか承知していない。知事の判断についてコメントはしない」とのべたのです。たぶん、福井県知事への配慮かと思いますが、これは理解できませんでした。
知事はこの間、「福島原発の事故原因の検証がまず先だ」とのべてきました。「民間の報告書、国会、政府の報告書を基に県技術委員会で検証が行われることにより、『福島原発の事故の検証が終わった』とするのか、事故原因が特定されなければ検証を終わったとはいえないのではないか」との質問に、知事は、「検証活動に制約を設けることはしない。条件設定はしないということだ」という言葉を繰り返しました。「その通りです」と答えないで、的外れ答弁を繰り返したのは何故なのでしょうか。泉田知事は頭のいい人ですので、何かその先にあるのではないかと勘繰りたくなります。
原発問題で知事の立場、認識にさらに疑問を持ったのは、大飯原発再稼働に反対する世論の高まりをどう思うか、また、一刻も早く原発ゼロを決断をすべきだと問われた時でした。知事は、「世論の高まりは当然だ。また、ウラン核燃料を考えると、脱原発をめざす首長会議で提言されていることは現実問題を見れば何をやろうとしているのかいまひとつ分からない。ウランは化石燃料と同じく有限の資源だ。埋蔵量に限界がある。ウラン235は早晩枯渇する。原子力発電は意図しようがしまいが過渡的なエネルギーであり、持続可能なエネルギー体制に転換していくことは自明なことだ」「核燃料をどうするんですか。核廃棄物の扱いも考えずに原発ゼロを叫んでみても事態は解決するんでしょうか。燃料棒をどこに持っていくのか。廃炉も長い期間かかる。どうやって次の人材育成をしていくのか。すべて総合的に判断したうえで日本の国の行く末を考えていかなければならない。ただゼロを叫べばいいというほど単純ではない」と答弁したのです。原発については技術的に未完成で、いったん過酷事故が起きたら抑えることができない、使用済み核燃料の処理もできない、そういうものだからこそ一時も早く決断して、ゼロへのプログラムを決め、歩むことが求められているのではないでしょうか。これまで、私は、「泉田知事は福島事故以来、原発問題では前向きでいい発言をしている」というふうに受け止めていましたが、昨日の知事発言を聴いて、これじゃ駄目だと思いました。
並行在来線問題。竹島県議は、富山県での調査を踏まえて新たな提案をしました。「乗り換えなしで直流・交流区間を運行できる521系電車の乗り入れを直江津駅まで延長すること」を提案し、「日本海側沿線を走る観光列車」として位置付けて、関係機関と協議すべきではないかと質問しました。これに対して坂井交通政策局長は、「並行在来線の運行については、使いやすい運行サービスを構築することが重要だ。会社が利用者のニーズを踏まえて自主的に決めることが基本だ。県としては、通勤通学時間帯を中心に富山県車両の糸魚川駅までの直通運転について富山県と協議を進めている」とのべるにとどまりました。
いまひとつ、並行在来線問題で提案したのは、譲渡前の総点検と修理についてです。専門機関である鉄道総合研究所に、施設設備の総点検と調査依頼を行い、JRの責任で必要な補修、修理を行うべきだと提案したのです。これについて坂井局長は、「平行在来線会社の方で直接専門職員による実地調査を行っている。その結果を踏まえて、必要な補修修理が確実に行われるようJRに求めていく」とこれまでの主張を繰り返しました。それでいいのでしょうか。