「総合事務所のあり方についての市長と市民との意見交換会」が安塚区、浦川原区、大島区で開催されました。このうち、大島区で開催された意見交換会を傍聴してきました。午後4時に開会、終わったのは6時半近くでしたから、長時間の意見交換となりました。でも、市民の声は聞いても、総合事務所産業建設グループの集約化についての大浦安(大島、浦川原、安塚)での試行は予定通り4月から行うというのです。これには、「聞いただけで押しつけだ」などと反発の声が相次ぎました。市長選のときのキャッチフレーズ、「市民がど真ん中」はすっかり遠くに行ってしまいましたね。
今回の意見交換会を前に行政側は、総合事務所のあり方の見直しの意義を3つにまとめました。1つは、災害対応です。総合事務所間の連携の強化だけでは対応できないから、技術職などの集約による復旧作業の迅速化、多人数で対応する機動力の向上が必要だというのです。2つは、一業務を複数の職員で担任する体制を構築し、職員同士の情報交換などによる資質の向上をはかること。そして3つ目は、広域的な政策や新たな地域振興策を展開していくことにあるとしました。これらは、議会や地域協議会、町内会長連絡協議会などから出された意見を踏まえて整理されたのでしょう。
説明の中で行政側は、なぜ大浦安で試行するのかについて、①昨年の豪雪・地震・豪雨における実情や経験を踏まえた検証が必要である、②他の区域で試行・検証した場合に、その結果にもとづくサービスの提供方法や災害対応が、中山間地域にも適用できるのか、の2点にまとめました。そして、試行・検証の重点課題は、①高齢者世帯の多い中山間地域での行政サービスの円滑な提供、②先の災害を教訓とした災害への「初動対応」から「復旧作業」までの体制、③共通の地域課題を持つ区域における広域的な施策・事業の展開、の3つであることを明らかにしました。これらの整理と公表は初めてだと思います。説明を聞きながら感じたのは、試行に反発する動きを強く意識して整理したのではないかということです。
市民からの発言はすべて大浦安での試行に反対でした。「浦川原に行ってどうしてよくなるのか。遠くなってサービスがよくなることはない」「(行政側が)自分の都合のいいように考えてまとめただけだ」「合併して殆どいいことがない。敬老会一つとってもサービスが低下した」「モデル地区という言葉を使っているが、良いことをするときに使ってもらいたい」「地域自治区にかかわる重要事項は地域協議会に諮問してほしい」「これだけのことをやるなら市長の考えている分権の絵をしっかりと見せてください」などの発言の根底には、行政に対する不信と反発が渦巻いていました。これらのもとは、合併による地域の衰退です。また、村山市長が取り組んできた事務事業の総ざらい、地域事業費制度の見直しに続いて、今回の総合事務所のあり方の見直しについても行政主導で行われてきたことも大きい。
意見交換会で行政側に対して激しいブーイングが起きたのは午後6時ころです。Mさんが、「(4月から即実施ということではなく)意見交換の場で出された私たちの気持ちを持ち帰って改めて検討してもらえるのか」と質問したことに対して、市長が、「私としては取り組むという方向の中で私の思いを伝えてさせてもらった」と述べ、再検討の意思はないことを明らかにしたときでした。会場からは、「一方的な説明じゃないか」「聞いてもらえないのであれば、これ以上言う必要はない」などといった声が相次ぎました。
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