原発、放射能汚染をどうするか、自然エネルギー社会をどうつくるか。頸城区出身の五十嵐仁都立大教授による講演とシンポジウムが一昨日、ワークパルで行われました。200人近い人たちが参加し、とても有意義な勉強会となりました。
講演の中で五十嵐教授は、「原発震災」で明らかとなった事故の規模、放射能被害の大きさと実態を報告し、「安全神話」の崩壊と「地震付き原発」の危険性を指摘するとともに、できるだけ早く「原発ゼロ」を実現することが課題となっているとのべました。さらに、日本は自然エネルギー大国であり、自然エネルギーへの転換は可能であり、必要であることを明らかにしました。
このなかで五十嵐教授は、福島第一原発の事故についてふれ、「事故は津波のせいというが、地震の揺れそのものによる損傷、液状化現象による損傷が大きい」とのべました。また、自然エネルギー、再生可能エネルギーに関連して、太陽光、中小水力、風力などだけでなく、温度差熱の利用、振動による発電にまで言及したのには驚きました。さらに「第4の革命」として挙げた環境革命論は真剣に受け止める必要があると感じました。自然エネルギー重視、大量消費社会の転換、食料・再生可能エネルギー・介護・ケアを内容とした「FEC自給圏」の形成は、経済評論家の内橋克人さんの主張と一致しています。
結びで五十嵐教授が強調した点は3つです。1つは、政治を変えること、誤った決定をただすことです。いままでの政治が間違っていて、災害に弱いまちになっているところに大震災がやってきた。もっと強靭な対策を講じていればこんなに被害が出なかったというのはその通りです。2つは、具体的な行動に出ること、立ち上がることです。今回、放射能汚染があるから救援に行けなかった地域がある。原発がなければ命を落とさずにいた人たちがいた。ITなども活用して具体的な行動をと訴えました。3つは、騙されないために知ること、学ぶことです。これまで原発神話に騙されてきたが、かつて伊丹万作が戦争責任に関して言ったように、騙されてきた側に責任がなかったのか。自分自身に問いかけてみる必要があるとのべました。
さて、シンポジウムの方ですが、2人の主婦、佐藤恵美さん、橋本桂子さんと県家畜商組合理事長の萬羽博文さんの発言もすばらしかった。佐藤さん、橋本さんは、主婦として原発災害にどう立ち向かおうとしているのかを明らかにしてくれました。また、萬羽さんは、放射能汚染稲ワラ問題が出て以降、風評被害で肉牛がまったく売れなくなった3か月間の苦しみを語りました。シンポはパネラーが2回ほど発言してなかなかまとめられないケースが多いのですが、今回は会場からの質問も次々と出て議論が深まりました。これはよかった。そして、最終的には放射能検査の徹底、正しい知識の普及に努めることの大切さなどが確認されました。