総務委員会審査2日目。注目の地域事業費制度の見直しに関する請願が審査されました。この請願は、住民自治と合併問題を考える会(佐藤忠治代表)が7月22日に提出したもので、地域事業費制度見直しについての市主催の説明会を市民を対象に早急に開催することを求めています。
請願審査に先立ち、請願者の佐藤忠治さんがこの請願を提出した趣旨説明を行いました。冒頭、佐藤さんは、「意見陳述の機会を設けていただき、感謝すると同時に上越市議会の見識に敬意を表する」とのべました。じつは、上越市議会において、請願者が自ら申し出て意見陳述するのは今回が初めてなのです。昨年制定した議会基本条例のなかに請願者の意見陳述に関する条文が盛り込まれたことで実現の道が開かれました。市民が議会に直接参加していく仕組みのひとつが動き始めたことは議会改革の貴重な一歩と言ってよいでしょう。
佐藤さんは説明の中で、「地域事業費制度の見直しは合併協議で合意した内容を根底からひっくり返す大転換。当然、そこには説明責任が発生する。しかし、行政側は、本来、対象とすべき一般市民への説明を一切行わず、専ら地域協議会を相手に説明してきた」「なぜ廃止しなければならないのか。その理由と責任の所在はどこにあるのかなど説明責任を果たしてもらいたい」とのべました。
この後、委員からの質問が出来ることになっていましたが、質問は「なぜ説明の対象者を13区市民にしたのか」のひとつだけでした。これには補助者まで用意していた請願者も拍子抜けだったようです。
続いて行われた各委員の意見表明。請願に賛成の委員は、紹介議員の私と吉田委員のみでした。これまで議会で繰り返し、地域事業費制度の維持を主張してきた委員まで「請願の提出は時期的には遅すぎる。いま、市民に説明すると逆に混乱が生まれる」「すでに市長は政治決断し、厚生産業会館の関係予算が提出されていて、いまとなっては遅すぎる」とのべたのにはびっくりしました。佐藤さんが、請願書での記述が13区の市民を説明の対象となってしまったことを陳謝し、「説明の対象者はあくまで全市民」と意見陳述の中でのべているのに、「説明を求める対象が13区市民だけだから賛成しかねる」というのも理解できませんでした。さらに、「地域協議会が説明してこなかったということであれば、いまさら何を住民に求めるのか。合併そのものが賛成か反対かさえもキチンと訊いてもらっていない住民たちが、今度こうなりますと突然のように説明を受けてもちっともわからないし、意味もない、そのことに答えるつもりもないというのが多くの住民の気持ちだ」という発言までありました。これには傍聴席からブーイングが出ました。
委員会の終了後、何人かの傍聴者に感想を聞いたところ、「これが議会だとは情けない。ちゃんと討論してもらいたい」「核心にふれる発言が無い」「質問は受けるが、こちらからは議員に質問できないというのはおかしい」など厳しい声が相次ぎました。委員長が「他に発言はありませんか」と聞いた時に、さっと手をあげて委員間討議を求めるべきだったと反省しています。