市の建物や橋などの寿命を10年、あるいは20年伸ばせないだろうか。そうすれば、財政的にずいぶん助かるはず……。そんな思いで公共施設の新たな維持管理手法、アセットマネジメントに取り組んでいる自治体が出てきています。
昨日はそうした自治体のひとつ、福岡市を市議会総務常任委員会で視察しました。参加者は12人のメンバー全員。福岡市の財政局アセットマネジメント推進課の幹部の方たちから同市の取組について説明してもらい、その後、質疑応答が行われました。
アセットマネジメントは、「不動産などの資産について、最適な時期、規模による投資を行うことによりその価値を高め、利益の最大化を図ることを目的としています。また、単なる資産の管理だけではなく、最適な配置にするための取得、処分なども含んでいる」(日経BP社)といいます。
福岡市が保有する主な施設は、建築物約2000施設、道路総延長3800㎞、橋梁約2000橋、公園施設1550か所、ダム、浄水場などの水道施設、下水道施設、地下鉄施設などです。大きな都市ですが、集落排水処理施設もあります。アセットマネジメント推進課の幹部からは、パワーポイントを使って、アセットマネジメント基本方針の策定に至った経緯、アセットマネジメント実行計画と導入による効果などについて説明してもらいました。
総務常任委員会メンバーからは、「施設を長く使うことによって更新時期を先にのばすことは理解できるが、一斉に更新時期を迎えないようにするための計画的な更新が必要なのではないか」「建物の劣化状況を把握するためのチェックシート、チェックポイントは作成されているのか」「学校耐震化を平成23年度までに完了させるという方針はすばらしい。どういう経過で決まったのか」などの質問が次々と出されました。いい勉強になったと思います。
説明のなかで印象に残ったのは、従来の「大量生産・大量消費」時代の「新規整備」ではなく、既存施設を大切に長く使い続ける「維持管理重視」に切り替えていくことが大事だということ。技術スタッフがいる施設では、それなりに日常点検などをやっているので問題はあまりないが、そうでない施設でも取り組める方針と体制が求められているというのもうなずけることでした。また、説明役の一人の職員は、私たちから質問が出ると、iPad(アイパッド)らしきものを持ち出して、データ探しをしていました。こういう使い方をしている人もいるんですね。