おはようございます。静岡市のホテルからの発信です。
昨日から市議会中山間地対策特別委員会の視察で東京、静岡へと出かけてきています。昨日は九段会館で開催された全国過疎問題シンポジュームに参加しました。総務省主催のシンポなので、政府として力を入れたものになると期待していたのですが、「まずまず」といった内容でした。
基調講演は、地方財政審議会委員の松本克夫氏。「無縁社会から豊縁社会へ」というテーマでした。無縁社会という言葉は今年の流行語大賞にノミネートされている言葉です。松本氏によると、死んでも引き取り手がいない人は年間3万2000人にも及ぶといいます。
松本氏は、「世の中全体、人と人の縁が薄くなってきている。人生で大事なのは人と人の出会い、縁だ。これは人生の宝。無縁は、この世で、生きて宝物を失うことになる」と警告しました。こうした事態に陥った原因については「お金の円(縁)」を追求するようになったからだと述べました。
話はお金の円から経済の今日の状況に及び、いま問題になっているTPPについても発言されました。「貿易自由化によってお金を豊かにしようということだが、それでいいのか」「貿易の自由化はいい面もあるが、危ない面もある。地域的に勝ち組と負け組ができる。国栄えて山河なし。負け組のところは焦土作戦と同じような状態になる。農業で国際競争力を強めようとすると、ひとつの村に農業をやる人が一人いればよくなる。これでは過疎化を進めるだけだ」などと述べ、TPPに強く反対しました。
松本氏は、無縁社会から豊縁社会へと再出発することが求められているとして、風土を生かした地域づくり、人間の在り方が重要になってくると強調しました。そして、「まだ、村には、風土を生かすワザと知恵が蓄積されている、その点に誇りと矜持をもち、人の縁を薄くするやり方ではなく、豊縁というやり方で経済を変えられないか」と語りかけました。