私用で金沢市に来ています。夕方の面会まで時間があったので、兼六園、金沢城を見学しました。最近、橋のことが気になるのですが、金沢城址に「橋爪橋」(はしづめばし)という名の橋があることを知り、うれしくなりました(写真は橋爪橋。私の姿、わかりますか)。帰り道、大通りから外れた小路も散策しました。
昨年、京都で歩いた時もそうでしたが、事前調査をまったくしないで歩くと、思わぬ発見があります。きょうは裏千家にゆかりのある建物、泉鏡花の記念館や金沢文芸館、枯木橋、浅野川大橋などと出合い、とても楽しいひと時を過ごすことができました。
泉鏡花記念館。浪漫と幻想の作家、泉鏡花の世界にひたることができました。サウンドコーナーで『荒野聖』の朗読を聴きました。朗読は佐藤慶、言葉がとても美しく響きました。それにしても、佐藤慶は朗読もいいなぁ。本の装丁画もずらりと並んでいました。気に入ったのは小村雪岱の作品です。雪の降る街の風景がなんともいえず良かったです。
金沢文芸館は昭和初期に建てられた銀行を利用した建物です。スペースはたいして広くはないものの、五木寛之が金沢市で4年ほど暮らしたことが縁で、五木寛之の作品や資料をたっぷり展示しています。また、市民文学賞に入賞した作品も全部見ることができます。ここで、加筆ゲラをいっぱい直した原稿や連れ合いである五木玲子さんの絵などを見ることができました。ゲラを徹底的に直す。五木ほどの大作家になると、文章にかける執念が違うものだと驚きました。
金沢市はいうまでもなく文化のまちです。歴史的建造物、町並みなどどれをとってもいいところばかりで、文化の香りがします。上越市高田の旧第四銀行の建物など活用しだいではとてもいい施設になるはずです。私としては、小川未明文学館をここへ持ってきたらいいなと思います。もっとも耐震問題を解決してのことですが。