きょうの視察地は京都府南丹市の美山町でした。先日、京都市内で地域再生に関する本の出版企画会議をした際に、美山町から参加された方があり、同町の地域づくりの紹介もあったので、大きな関心を持って訪ねてきました。
南丹市美山町(旧美山町)は人口4500人ほどの町です。土地の96%が山林で、谷間の平地に田畑がある、そんな感じのところです。いま、「日本一の田舎づくり」をしている町として全国から注目されています。
山も川もみんなきれい
マイクロバスで美山町に入ってまずびっくりしたのは、町全体が名前の通り、とてもきれいだということです。由良川の流れ、杉林、道路、各種公共的な施設など、何から何までよく手入れされていて、ゴミひとつ落ちていないのです。平日にもかかわらず、きょうも大型バスが十数台(私たちがいた時間帯に)も美山町に入っていましたが、これだけきれいにしてあると、うっかり、ゴミを落とすわけにはいきません。
あったかい感じのかやぶき民家
この地域のかやぶき民家の形は独特です。バスの中から初めてこの地方のかやぶき民家を見つけたとき、「昔話に出てくるような家だね」と私が言うと、S議員は「カチカチ山とかが出てきそう」と言っていました。形はかわいくて、安定感がある。そして、何となくあったかい感じがするのです。こうしたいい雰囲気を生かして地域づくりをしている代表が美山町北村にある「かやぶきの里」(画像)です。
誇りを持って生きている
きょう、私たちを案内してくれたのは、市役所のNさん。美山町北村のかやぶきの里に住む30代の男性です。データをたくさん持っていて、地域を知り尽くしているといってよいほどよく勉強していました。話は感じの良いテンポですすめられ、喜びと自信に満ちていました。でも、自分の住んでいる家のことや家族についてまで語ってくれるとは思いませんでしたね。屋根のふき替えは父親の代ではしなかったが、自分の代では2回することになりそうだとか、小学校にバスで通っている子どもがいるなどです。こういう話までできるのは、自分の住んでいるところに誇りを感じているからなのでしょう。
自力で地域経済を回している
山間部の町の住民が生きていくためには仕事がなければなりません。肝心の林業の方はというと、いま、切り出してもとても採算はとれないそうです。そういうなかで自分たちの地域のある景観や食べ物などを生かして都市住民と交流をし、農産物や加工品などの特産物を売っていく。休憩所などの施設では大勢の女性が働いている。公共事業に頼らないで自分たちで地域経済を回しているのはすばらしいことです。観光協会事務所のそばの「ふらっと広場」では、「トチの実羊かん」「美山牛乳サブレ」「よもぎハッカ」を土産に買ってきました。
きょうの視察で惜しかったのは、小さな集落に焦点を当てて、機能維持や再生への努力をしているところを見れなかったことです。美山町での地域振興会の活動なども見たり聞いたりしたかったのですが、今回は時間が少なすぎました。もう一度、一日くらいかけてゆっくり美山町に入りたいと思いました。