いま、上越市議会で、議員提案で2つの条例をつくる動きがすすんでいます。ひとつは上越市議会基本条例、いまひとつは上越市中山間地域振興条例(仮称)です。前者は市議会内に設置された任意組織、検討委員会で、後者は市議会中山間地対策特別委員会で検討中です。偶然にも、私はどちらの条例づくりにも党議員団選出のメンバーとしてかかわっています。
きょうは中山間地対策特別委員会でした。これまで、現地調査、関係地域での住民懇談会、数回の委員間討議などを経て、条例づくりが本格化するところまできました。具体的には、特別委員会内に2つの分科会を設け、条例の前文、条文を分担し、協議を重ねています。きょうは、それぞれの分科会が作成した素案を違う分科会が検討し、全体会で議論を深めていく作業が行われました。
私が所属することになった分科会では前文と条文の目的を担当していますが、分科会として、「ですます調」の文体で作成することを全体会で提案することになりました。この過程で、どうしたら分かりやすい条例になるかの議論がありました。私は、条例というのは、「簡易かつ正確なものであるとともに、住民に分かりやすいものでなければならない」(北海道町村会法制執務概論)と言われていることを紹介しつつ、「ですます調」での文体を薦めました。
正確さと分かりやすさ、このふたつを満たすためには、内容面と表現・形式で真剣な検討が必要となります。何よりも条例が目指す内容と全体の組み立てに論理性がなければなりません。そして、市民の代表である議員が条例を提案する場合には、もうひとつ、親しみやすさが求められていると思うのです。この3つを満たすには「ですます調」の文体の方が適していると思います。私がこれまで主張してきたのは、「中学生が読んでも分かる条例」「誰もが声を出して読んでみたくなる条例」です。今回の条例づくりで、どこまでこれに接近できるか。
参考までに、前文等を検討する分科会で作成した上越市中山間地域振興条例(仮称)前文の素案(素案の素案といったもの)を読んでみてください。以下に掲載します。
私たちのまち上越市は冬になると雪が降ります。ゆっくりと降ることもあればどんと降ることもある。積もる量は日本屈指、ここは豪雪地帯です。雪の中で暮らす人たちは助け合い、人としてのやさしさとたくましさをもって生きてきました。
春から夏。雪は徐々に解け、雪割草などたくさんの山野草が花を咲かせます。大地にしみ込んだ水は山間地から平野へと流れ、日本海に注ぎます。その美しい景観は人々の心を癒し、観光資源ともなっています。
私たちのまち上越市は北と南の植生が交わる地域でもあります。上流から下流へと広がる大地はソフトな粘りと甘み、上品な食感が持ち味のコシヒカリを実らせ、豊富な野菜を育ててきました。栄養たっぷりの水が流れ込んだ日本海は海の幸でいっぱいです。
山があり、海があり、大地がある私たちのまち上越市は、私たちにとって地球上の他の地域に求めることのできない心のふるさとです。しかし、経済構造の変化の中で市域の6割を占める中山間地では少子高齢化が進み、農地は荒れ、集落の存続が危ぶまれる状況が広がってきています。
こうした流れに歯止めをかけなければ、上越市の未来はありません。私たちは、中山間地に住むものが市街地に住む人々の暮らしを思い、中山間地に住むものが市街地に住む人々に感謝される関係づくりを進めるとともに、両者の支え合いの中で様々な資源が循環し、中山間地が再生、活性化する地域社会の形成を目指すことを決意し、ここに条例を制定します。