二日続けて心に残る法話をお聴きしました。
きょうは江口議員のお母さんのお通夜でした。お経を終えて法話をされたのは市内春日新田にある真宗大谷派覚真寺のご住職、藤戸秀庸さんです。
藤戸さんは、法話の中で、先先代のご住職についてのエピソードを紹介されました。私のじいさんは「悪い」エピソードがたくさんございました。しかし、ひとつだけ、みなさんにお伝えできる良いエピソードがございます。第二次世界大戦の末期、直江津に捕虜収容所がありましたが、そこに収容されていたオーストラリア兵が飢えや寒さなどで60人ほど亡くなりました。その人たちの遺骨を預かるところがなかなかない中で、じいさんは、「死んだ者に国境はない」と言って、本堂の一角に預かったのでございます。時には憲兵がやってきてサーベルをドンと突くことがありましたが、じいさんは動じなかったといいます。
この話に出てきたおじいさんとはかの有名な藤戸円理さんです。覚真寺という名前を聞いた時、どこかで聞いたことある名前だと思ったのですが、円理さんの孫さんからお話をきかせていただくとは。とてもうれしく思いました。
秀庸さんはまた、ご自身の娘さんとおばあさん(秀庸さんのお母さん)が一緒にお風呂に入った時の会話も紹介されました。娘さんが10歳、おばあさんが70歳の時といいますから、もう10数年も前のことなのでしょう。娘さんにとっておばあさんは60年も長く生きた大先輩です。背中をゴシゴシやってくれている孫から「おばあちゃん、これまでの人生で一番良かったことは何?」ときかれ、おばあさんは言葉が出てきませんでした。切なかった苦労はたくさんしていて、憶えているけれど、良いことをと言われても思い浮かばなかったというのです。逆に、おばあさんが娘さんに「これまでの人生で一番いかったことはなんだい」とききました。その答えは、「お父さんやお兄ちゃんに出会えたこと」でした。「いのちのつながり」というごく当たり前のことに価値を見出していることに秀庸さんは感動したといいます。この話も心に響くものがありました。
法話は亡くなられた江口さんのお母さん、キクさんの話が最初と最後に入っていて、故人をしのびながら参列者が自らの人生を考える構成になっていました。こんな風に話が出来るようになりたいものです。