上越市主催の地域自治フォーラムが春日謙信交流館でありました(画像)。「身近な地域からはじめよう!わたしたちのまちづくり」がテーマです。私は13区でのまちづくり活動の発展ということも意識はしていましたが、何よりも今秋からはじまる合併前上越市の地域自治区、このエリアでのまちづくりをどうしていったらいいのかという問題意識を持って参加してきました。
第一部は明治大学の小田切徳美さんの「『小さな自治』がつくる地域の未来」という講演です。小田切さんの講演は中山間地対策をテーマにしたものを一度聴いたことがありましたが、きょうの講演は胸にストンでした。いい話を聴いたと思います。
いま求められている新しいコミュニティは行政主導、行政の下請け化から自立した自治区。地域の仲間とともに手づくりで未来を切り開いていく手づくり自治区だ。自立した小さな自治づくりは大きな幸せづくりにつながっていく。身近なところで物事を決めていく過程に参加していく、そこに喜び、幸福感が生まれる。この幸福感はそれぞれの住民の参加度によって決まる。
この「手づくり自治区」の先発事例として紹介されたのは広島県安芸高田市川根地域振興協議会です。1972年(昭和47年)の大水害で、負けてたまるかと地域の人たちが思いをひとつにして振興会を設立。その後、楽しいイベントにも取り組み、さらに独り暮らしの人たちなどを「お互いさま」の精神で支援する地域福祉組織へと発展させていきました。最終的には、誇りを持って地域に暮らすことをめざしているといいます。
このほか、スタート時点で大切なのは広報紙と集まる「拠点」だとか、都市と農村の違いを意識した運営が求められていることなどの指摘も参考になりました。
第二部は市内での事例発表です。地域の宝を再発見して地域づくりに生かしている直江津、高田の取り組み、地道にこつこつとまちづくりを進めている大潟区や浦川原区の事例はいずれも小田切さんの話とかみ合っていましたね。
小田切さんの講演、事例発表と聴いて、「合併前上越市の地域自治区づくりもいける」と思いました。これまで4年間、13区でがんばってきた地域協議会のメンバーの方たちも自信を深めたのではないでしょうか。春日謙信交流館のホールはほぼ満席に近い状態でしたが、高田、直江津の人たちも大勢いらしたかどうか、ちょっと気がかりです。でも少なくてもいい。参加された方々が、小田切さんの最後のメッセージ、「できることから始めようではないか」に応えて動き始めれば、小さな幸せが大きな幸せをうみ出していく。そう思います。