きょうは納棺、通夜と続きました。父の棺に何を入れようかと考えた時、一番先に浮かんだのはわが家のコブシ。これは私だけではありませんでした。何人もの人たちが「コブシの花、忘れなんな」と声をかけてくれました。山間部出身のHさんはきょう採ったばかりのウド、コゴミ、タラの芽を持ってきてくれました。太くてしっかりした山菜です(画像)。見れば、父もびっくりすることでしょう。父が入院してからいろいろ手伝ってくれた弟は手紙を書いて入れました。
こうして、父の棺には、葬儀屋さんが用意してくれた花のほかにコブシ、ウドなどが入りました。私は明日、私が書いた最初の本、『幸せめっけた』(恒文社)を入れたいと思っています。9年前、この本を出した時に、父が繰り返し読んでいた姿を思い出したからです。
通夜の会場に向かう時、霊柩車はわが家の牛舎に立ち寄り、クラクションを鳴らしてもらいました。おそらく、父にとっては4年ぶりくらいでしょう、牛舎を見たのは。だんだん足が弱り、歩くのはいよいよ限界という時に、父は朝早く、麦わら帽子をかぶり、新聞を片手に持って牛舎へ来ました。その姿を見て、これで最後になると私は直感しましたが、その通りでした。久しぶりに牛舎を見て、きょうは喜んでくれたと思います。
明日は葬儀です。みんなで相談して父の酒づくり唄を流してもらうことになりました。「揃た揃いました コラヤノヤ、一ころニころ四ころにゃ足りない 三ころ突きゃ揃た 三ころづき…」という「三ころ」です。この唄は父の18番でした。大勢の人から聴いてもらえれば、父も大満足だと思います。