びっくりしました。長岡市在住の星野四郎さんから一冊の本がおくられてきたからです。星野さんは元農業試験場の先生です。30年ほど前になります。茨城県の酪農家で、「二本立て給与法」の実践と普及に努力されていた鈴木茂さんから牛のエサ給与法を教えていただいた私は、吉川の牛飼いの仲間と一緒に長岡市の農業試験場を訪問しました。目的は野草であるススキの研究をされていた星野先生に会うためでした。当時、牧草地をほとんど持っていなかった私たちは山野にあるススキに注目していました。ススキを牛のえさとして有効に活用する方法を学びたい、その思いで試験場に出かけたのでした。
驚いたのは、その時、たった一度しかお会いしたことがなかったにもかかわらず、私のことを憶えていてくださったからです。私の方は、その訪問で、ススキは一年に何回も刈ると絶えてしまうことなどを学びましたので憶えていますが、まさか、ごく普通の酪農家のことをおぼえていてくださるとは……。本にそえられた手紙には、「農業試験場で一度お会いしました。『幸せめっけた』と最近の議会活動に感動し、冊子をお贈りします」とありました。うれしかったですね。
おくっていただいた本は『八十路の灯り』というタイトルの歌文集です。短歌あり、小論ありの150ページ。まだ読み始めたばかりですが、星野さんは農業研究者としてだけでなく、歌人として、平和運動家としても活躍されていることを初めて知りました。表紙のあとに写真とともに10首の歌が掲載されています。そのなかに、医療生協の親子グループの芋掘りについて歌ったものがありました。「スタートの 合図またずに とびだして 芋づるを引く 子らの喚声」。私のお気に入りです。