総務常任委員会の視察の際、読書家の小林克美議員から教えてもらいました。兼続のことなら藤沢周平の『密謀』(新潮文庫)が面白いよと。今回のNHK大河ドラマ『天地人』の原作は火坂雅志の同名の著書ですが、「藤沢周平の小説ではどんな書き方をしているのだろう」「兼続の動き回った舞台は『蝉しぐれ』のようにていねいに書かれているに違いない」そう思って、きょうから読み始めました。
いきなり、「信越の国境いに生まれて、北に流れ下る川がある。川は西の空につらなる妙高の山々、東にそびえる黒倉、鍋倉の山塊の重圧から遁れるように…」と書いてあります。昨年、廃棄物最終処分場問題で信越の国境を視察してきたばかりなので、最初の数ページの現場風景は良く分かります。藤沢文学の魅力のひとつは風景描写だという人がいますが、その通りだと思いました。
いうまでもなく春日山城についても書いてあります。「本丸に通じる道をひとつ曲がると、不意に深い木の間の陰にかくれてしまう。前面には頸城野の眺望がひらけているが、背後は道の通いもない丘のつらなりで…」こんな風に書いてあると、実際に歩いて本の内容を確認して見たくなりますね。
そしてわがふるさとの山についても書いてありますからうれしくなります。春日山城の本丸から東の方角に目を向けると、「北東の空を障壁のように区切るのは、米山を北端とする尾神、鍋立、長倉の山々である」とあります。さらに読み進むと、「四方の道は、要所に配置した堅固な支城によって守られている。北上する道は米山峠を中心に顕法寺城、猿毛城、旗持城で固め、関東筋には直峰城、室野城、犬伏城が配られている」。もう時間が経つのを忘れそうです。いい本を紹介してもらいました。
きょうは「春一番」が吹いたようです。生暖かい風が吹き、私にとっては切ない日となりました。じつは数日前から、目がかゆくなり、鼻水が無意識のうちにスーッと下りてくるのです。昨年、突如襲ってきた花粉症がまたきたのかも知れません。「しんぶん赤旗」日曜版の配達もマスクをしながらとなりました。