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トップの役割そして職員のプロ意識

 市議会議員の視察はたいがい先進的な取り組みをしている自治体へ行くことになります。3日から5日までの市議会総務常任委員会の視察もそうでした。今回は電子自治体としての取り組み、納税しやすい仕組みづくりで頑張っている4つの自治体を訪ねました。上越市にすぐあてはめて実施できるかどうかは別として、いずれの自治体でも発見があり、鮮度の高い情報を入手できました。
 埼玉県川口市では、電算関係の投資が財政圧迫要因のひとつになっていること、今後の電子自治体づくりは全国共通の基盤の中で行い、全国のどこへ行っても使える共通のシステム構築が求められていることを学びました。同市は本格的な情報システム改革を進めるにあたって、市長から担当者レベルまで全庁的な合意形成を重視している点も注目でした。市長と総務省の担当官が改革について対談を行い、それを職員に見てもらい方針を徹底していったという説明を聴いて、どんな市長さんか、会ってみたくなりました。
 神奈川県藤沢市。全国で初めて税金をクレジットカードで納付できるようにした自治体です。軽自動車税の納税率が低くて、納税率向上をめざす取り組みの足を引っ張っているとして、クレジットカード納付の実証研究をやったうえでスタートさせました。市役所に行けない人、金融機関に行けない人、特に若年層を意識した取り組みだそうです。説明してくださった納税課主幹は、「小さな失敗は次の改良の糧になります。市民から怒られるのも糧です」「全体の窓口を広げていくことで収納率は上がります」と自信たっぷりでした。
 千葉県松戸市。ここは行政改革の元祖自治体です。ここでは、SWOT分析を活用して総合計画の実施計画を策定しているというので視察に行きました(画像)。説明にあたった政策調整課の職員から冒頭、「じつは平成13年に上越市さんが行革ランキングがトップ(グループ)だということでお世話になりました」と言われたのでびっくり。いうまでもなく、いまのような財政状況が厳しい時代に自治体運営をしていく時、事業や計画づくりで「選択と集中」を明確にしていかねばなりません。同市では、新潟大学の大住莊四郎先生の力も借りて、SWOT分析を自治体向けに修正して実施計画づくりに活用しています。松戸市の強み、弱み等を分析しながら、事業を「成長」「改善」「回避」「撤退」の4つに分類していく手法は興味深いものでした。
 最後の視察地は埼玉県北本市でした。人口約7万人という小さな都市ですが、「日本一の納付環境の構築」をめざしている市として全国から年間50件を超える視察団が訪れています。藤沢市の職員さんから、北本市の取り組みについてある程度情報を得ていましたが、政策推進課情報担当職員の説明に圧倒されました。窓口、口座振替に加え、コンビニでの収納、クレジットカードなどでも納税が可能で、市県民税の徴収率は埼玉県内40市でトップを3年続けています。納付環境整備が進んでいることだけでなく、情報システム改革も聴きごたえがありました。住民サービスの向上、セキュリティの向上、管理・運用コストの削減を柱に市役所の窓口連携システムができていて、申請書に何回も同じことを書かないで済むようにしてありました。よく、「ワンストップで住民サービス向上を」という声を聞きますが、「ワンストップをやると職員が対応できなくなる」とバッサリでした。
 今回の視察では、トップの果たす役割の大きさを改めて確認するとともに、説明してくれた職員のプロ意識の強さに感動しました。


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コメント (2)

毎日読ませてもらっています。
SWOT分析、これはどうゆう意味ですか。

「ワンストップで住民サービス向上を」という声を聞きますが、「ワンストップをやると職員が対応できなくなる」とバッサリでした。

この文章は、どんなことをさしているのですか。なぜ、対応できなくなるのですか。

すいませんが、解説をお願いします。

ホーセ:

わかりやすく書かなくてすみませんでした。私も最近知ったばかりの言葉です。民間企業などが経営戦略を検討するときに、自らの組織のおかれている内部状況と外部環境を正しく分析する手法のひとつです。企業の強み、弱み、機会、脅威の全体的な評価をSWOT分析といいます。なお、SWOTは、Strength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(脅威)、Threat(機会) の頭文字を組み合わせた短縮語です。

ワンストップサービスは様々な行政手続きをいっぺんに行なうサービスのことをいいます。たとえば、住所変更の手続きでは、通常、市民課の窓口へ行きますね。そこで市民課の関係手続きだけでなく、健康保険課にかかわる手続きや福祉課の手続きなど他課の手続きまでやってもらうと、ワンストップサービスということになります。市民にとっては便利ですが、職員がよその課の仕事についても詳しくないと対応できないケースがあると、そこで行列ができてしまうとのことでした。

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概要

2009年02月06日 23:39に投稿されたページです。

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