父の入院生活はきょうから9か月目に入りました。時々、「家に帰ろさ。いっぱいやろさ」と言います。口から食べ物、飲み物はいっさいダメという中で、家への思いは募るばかりなのでしょう。短い言葉で弱弱しく言うので何をしゃべっているかわからないことが多いのですが、「家に帰りたい」気持ちが強いのか、この言葉だけはハッキリとしています。
きょうは、最近、デジカメに撮ったわが家の写真を病室に持って行き、父に見せました。写真はわが家を南側から撮ったもの、木戸先の百日紅が満開となっています。「ほら、じちゃ、きょうはいいもの持ってきたよ」と声をかけ、写真を見せると、「おらちか」と私に聞きます。「そうだよ、おまんが建てた家だよ」「お医者さんから帰ってもいいよと言われるまでがんばるんだよ」と励ましました。
写真をじっと見ていた父。涙を流すことはありませんでしたが、よほどうれしかったのか、「歌、うたうわ」と言って、ベッドで寝たまま、「米山さんから雲が出た…」と始めました。柏崎の民謡、三階節です。父の三階節を久しぶりに聴きました。