いつか行ってみたいと思っていた喫茶店があります。その名は「プー横丁」、上越市高田にある小さな喫茶店です。店主の増村俊一さんはジャズが好きで、本も映画も大好き。また、真宗大谷派寺院の住職でもあります。私とは『幸せめっけた』(恒文社)を出版して以来の付き合いですが、彼のお店には行ったことはありませんでした。いつか、ゆっくり話したいものだと思っていたところ、先日、市役所のエレベーター内でばったり出会い、「ぜひ一度店に出かけてきてください」と誘われました。というわけで、きょう、初めて、コーヒーを飲みに出かけてきました。
丁度、お昼の時間でした。「こんちは」と声をかけると増村さんは笑顔で迎えてくれました。店内にはなつかしい本がずらりと並び、文化サークルの資料などがたくさん置いてありました。偶然、お客は私ひとり。たっぷり話をすることが出来ました。彼の檀家に大工さんをやっているHさんという家がありますが、私に知っているかと尋ねられ、びっくりしました。私と同じ尾神で育った小中学校の同級生だったのです。そして尾神岳報尽碑の話からはじまって、親鸞聖人遠流800年記念大会での池田勇諦さんの講演内容がすばらしかったこと(この日記の5月27日付をご覧ください)、さらには映画「ふみ子の海」の話にまで広がりました。増村さんは私が思ったとおりの人で、一緒にいれば、2時間でも3時間でも楽しく語り合えそうです。
夕方、増村さんとの話に出てきた映画「ふみ子の海」を観に出かけてきました。本当は18日に観る予定だったのですが、たまたまインターネットで日程を調べたところ、「新着情報」の中の「新潟県内上映、初日!」のところで出てきた写真が、尾神岳からわが家のあった蛍場の山々を望む秋の風景写真だったのです。増村さんの話とこの写真で18日まで待つことができなくなりました。脚本は1年ほど前に全部読んでいましたが、やはり映像が出てくるとまた違います。尾神の深田の池が2回も出てきたり、大賀の棚田も何回も出てきて、親近感が増しました。美しい芸者さんが軍人さんにはっきりモノを言う場面やサダが死ぬ場面は脚本を読んだ時以上の迫力がありました。映像で一番感動だったのは、最後の場面です。海に向かって「かあちゃーん」と大きな声で叫ぶ姿はいつまでも忘れないでしょう。