今回の地震では源地区の被害は少ないと聞いていました。ただ上川谷だけは別とのことでした。下川谷を過ぎ、2年前の梅雨前線豪雨で大きな被害が出た県道の近くまで行ってびっくりしました。北側の山が何ヶ所も大きな地すべりを起こしていたのです。赤茶色の地肌が出て、谷底には何本もの木々が落ちています。一瞬、中越地震のときの山古志の風景を思い出しました。上川谷の風景は一変していました。
上川谷のすべての家を訪れ見舞いましたが、どこの家の人も地震の恐怖を語りました。「2階から長持が落ちてきた。よく怪我をしなかったものだと思う」「タンスから茶ダンスまで、みんな倒れてきた。夜の寝ている時だったら、どうなっていたか」「家の中がみんなガサガサになった。地震の影響もあるのだか、体の調子が悪い。一人でいるのが不安で、お父さんについてまわっている」「よそでお茶を飲んでいた。家に帰ったら、戸は外れ、壁が落ち、足の踏み場もなかった。やっと座る場所をつくった」。ある家では、「まだ橋爪さん、きなんねねぇと、みんなでうわさしていたとこだ」と言われました。待っていてくれるとはうれしい。
地すべりしている現場も2ヶ所だけ見てきました。いずれも田んぼの畦が谷底に落ちています。田んぼの中にはひびが入り、植わっている稲も引っぱられて横になっています。畦もとを歩いていると、ぶよぶよしていて、一緒に谷底に落ちるのではないかと不安になります。地震から3日目、上川谷の人たちの多くは、まだ自分の家の田んぼがどうなっているか見ていません。地滑りを見て、再び切ない思いになるのどろうと思うと、かわいそうです。上川谷の地すべりの姿は「上越市内の新潟県中越沖地震被害関連写真」の中に2枚ほど追加掲載しましたが、ビデオでないとよくお伝えできません。
さて、吉川区の被害状況です。午後1時現在のデータです。
●避難所開設 1ヶ所 3人自主避難(ピーク時は16人)
●けが人 17人(このうち1人はやけどで入院。他は軽傷)
●住宅の損壊 23件(危険6棟、要注意12棟、注意2、調査中3棟)
●住宅の屋根瓦落下、壁落下、ひびわれ等 282件
●非住宅の屋根瓦落下、壁落下、ひびわれ等 456件
●灯油流失 25件
●道路陥没、段差、クラックなど 101ヶ所
●断水 374世帯
区内4ヶ所で飲料水供給中
●停電 なし(16日17時すべて復旧)
●交通止め 林道大下名木山線(崩土)
水道については、明日の朝までに復旧する見通しであると有線放送でお知らせがありました。建築物応急危険度判定の要請は28件にまで増えてきました。夕方までの判定結果は、「危険」が8件(うち、住宅は4件)、「要注意」が15件、「注意」が6件となっています。判定要請は28件ですが、対象物件は29件です。