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最後の別れの時に

 旅立つならこんな日に。風岡準三さんの告別式はさわかに晴れたなかで行われました。彼は4人キョウダイの末っ子です。親族を代表して彼のすぐ上のお兄さんが参列者にお礼の挨拶をされました。短い挨拶ではありましたが、「準三は精一杯生きました。すばらしい人生でした」のひとことを聞いて、「そうだね、そのとおり」と思いました。彼には90歳になるお母さんがいます。末っ子が先立つことに切ない思いでいっぱいだったのでしょう、最後の別れで彼の顔を見た時に式場に響き渡る声を出して語り掛けました。「準仙(彼の画家としての名前)!ころぶなよ、まっすぐ行きなさい」。みんな泣きました。
 火葬が終わってからお斎にも参加してほしいとお兄さんの亀久夫さんに言われ、出てきました。20人ほどの、こじんまりしたお斎にはおいしい料理がたくさん出ました。朝食を食べずに朝一番の高速バスに乗って出かけたので、どんどん食べ、飲みました。食べるだけで終わるのかと思ったら、進行役をしておられた亀久夫さんが「最後にご挨拶を」と小中学校時代からの友人である伊藤さんを指名。伊藤さんは、「自転車に二人乗りをして鳥屋野潟で魚釣りをした。途中で堆肥のなかからミミズを掘り出しエサにした」などの思い出話をされました。その後、私と竹之内さん(学生時代からの友人)にも指名され、びっくりしました。
 最後の最後。彼とこの2年間ともに暮らし、支えてくれたお連れ合いが、「私もしゃべりたくなりました」とのべ、これまでの病気との闘い、彼の性格、人柄などについてたっぷり語りました。「ここ数ヶ月、ずっと死の恐怖とたたかいながら、最後まで生きる希望を捨てませんでした。こんなにも急速に病状が悪化するとは思わず、3月には2週間ロンドンに行っていました。毎日国際電話がきたが、不安でしょうがなかったのだと思います。心配になったので帰ろうかと言うと、自分の仕事を大事にしっかりとやってきなさいと逆に励まされました。ヒューマンな愛情を持ち続けた人で、目の前に困っている人があれば、最大限、援助の手を差し伸べる人でした」。良い友人を持った幸せを再確認できた話でした。よかったです。


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概要

2007年04月27日 00:00に投稿されたページです。

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