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武士の一分

 昨晩、妻に映画に行こうと誘われました。それどころじゃないよ、と最初断わったら、「冷たいのね」という言葉が返ってきました。でも、考えてみれば、正月休みもなし、家庭サービスゼロです。それに映画はぜひ観たいと思っていた藤沢周平原作・山田洋次監督の『武士の一分』でした。考え直して、「分かった、行こう」と最終的には誘いに乗ることにしました。
 でも妻の言うことをきいてよかった。まず三村新之丞役、主演の木村拓哉の演技が見事でした。目が見えなくなってから、庭に出て木刀を振るシーン。観ているだけでも怖くなる迫力に圧倒されました。決闘シーンもすごかった。歌手としてだけではなく、俳優としても見事な集中力、ひきつけられましたね。加世役の壇れいは初めて見ましたが、山本周五郎の小説に出てくる誰か(名前は思い出せず)に似てましたね。徳平役の笹野高史もぴったりでした。この人は私とほぼ同年代ですが、これから年寄り役でどんな演技をみせてくれるか楽しみです。
 映画では「武士の一分」ということよりも男の一分、夫婦の絆のことを考えさせられました。坂東三津五郎演じる番頭の島田の罠にはまった加世を離縁するシーンに代表される男としてのやりきれなさ、切なさの連続、よく伝わってきました。そして何よりも最後の場面が感動でした。決闘が終わって、「飯炊き女」として徳平が連れて来た女がつくったご飯、芋がらの煮物を食べ、その味で加世だと分かり、加世の手を握る新之丞、もう涙がぼろぼろと出てしまいました。私もいつかこんな歴史小説を書いてみたい。


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2007年01月06日 00:00に投稿されたページです。

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