きょうは父が初めてショートスティ(短期入所事業)に行く日でした。数日前から教えておいたのですが、本人はすっかり旅行に行くものと思い込み、小遣いは持っていかんでいいがか、などとそわそわしていました。母によると、昨晩は1時間に1回起きてトイレに行くほど興奮していたようです。一方、家族は気を使いました。今回の入所次第では二度と行かないと言う可能性があるからです。間違っても、家族に見放された、おいていかれたと思われないようにしたい、というのが家族の気持ちでした。最初は、長女が車に乗せていき、午後から私が入所した父を訪ねる計画でしたが、最終的には、長女の運転する車に私と母も乗り込み、送り届けることになりました。
家から約30分のところにある施設です。着いた時に待っていてくれたのは、介護担当のHさん、とてもやさしい感じの女性でした。入所の手続き、薬剤師さんとの打ち合わせを済ませたのち、Hさんは入所されているみなさんに父を紹介してくださり、その後、5分くらいで父と離れてきました。車イスに乗ってテレビの前のテーブルのそばに陣取った父は無言でした。どうも何か違うようだと思い始めていたのでしょう。帰りの車の中では、長女も母も、「思ったよりも明るくて良かった」、「病院に入れようとした時のように、入ったら認知症がすすんで悪くなるかもしれないという思いはない」などと言って喜んでいました。
その後、友人とともに新潟市に飛びました。癌と闘っている学生時代の友人を見舞うためです。カナダ在住の同級生からメールをもらい、彼に会って励ましてほしいとの要請があったのが直接のきっかけですが、県議選で動きが取れなくならない内に訪ねたいとは思っていました。闘病中のKさんと県立がんセンター近くのレストランに入り、昔話を楽しみ、県庁などで活躍している同級生の動向などを語り合いました。わが家へ泊まりに来て山芋を掘ったこと、牛乳入りラーメンを食べたこと、日和山海岸で拾った空瓶をお金にかえてパンを買った話はいつまでも忘れないと思います。Kさんは、来月から東京で新たな治療に取り組む予定です。彼は、それまでもってくれればいいが、と言っていました。いまは作り笑いであっても笑うことが大切だとも言い、がんばっているので、綾小路きみまろの爆笑トークCDと私の新刊をプレゼントしてきました。
新潟から戻って父のところへ向かいました。施設の事務所に顔を出したら、Hさんが、「帰りたがられて……」。テレビで相撲を観ていた父のそばに行くと、目を赤くしていました。おそらく、さみしくて涙がでたのでしょう。若い男性職員のなかに次男と同年代の人が何人かいたのですが、次男と違うことを知って、なおさらがっかりしたようでした。今回のショートスティは3日間です。あと2日間でどうなるか心配になりました。明日も父のところへ行ってこようと思います。