上越市のこれからの教育の基本方向を定める総合教育プランづくりがすすめられています。きょうはその中間発表会でした。会場となった頸城区の希望館には230人ほどの人たちが集まりました。すでに別の集まりで事前に内容を報告する場があったのでしょうか、学校の先生方や社会教育関係者がもっと大勢参加され、満席になるものと思っていただけに、ちょっとさみしい参加者数でした。総合教育プラン策定の意義が教育関係者にもまだ十分理解されていないことの表れでなければいいのですが、気になります。
さて、中間発表会。総合教育プランの概要説明を市教委の石野学校教育副課長がプロジェクターを使ってわかりやすく説明した後、プランを先取りするような先進事例ということで、「キャリア・スタート・ウィーク」「謙信キッズ」の体験発表などが行われました。
このうち「キャリア・スタート・ウィーク」は子どもたちの勤労観、職業観を育てるために、中学校において5日間以上の職場体験を行う学習活動です。床屋さんで体験した塚田郁実さんは、電話一本でも対応次第ではお客さんが不愉快になることがあること、床の細い溝に落ちた髪の毛を掃除することなどの体験から、「自分に与えられた仕事に最後まで責任を持ってやる」ことの大切さを学んだといいます。スーパーで体験学習した岸航輔さんも挨拶や試食販売などを通じてお客さんと交流できたことで自信をつけたようです。ふたりとも実に生きいきと体験を語ってくれました。そして受け入れた側を代表して報告したイチコスーパーの山崎隆さんの話も良かった。山崎さんは、「これまでの1~2日間の体験だと職場になれるのに精一杯。今回のように長い体験期間になったら、3、4日目あたりから子どもたちが変わってきた。挨拶にしても大きな声で言える人が出てきて、商品のある場所もわかってきて、お客さんに売り場を案内して、『ありがとう』と言われ、それが自信につながった。職業観の芽生えが出てきたのではないか」とのべ、企業としてもできるだけ協力していきたいと結びました。
今年度、市教委の目玉事業である謙信キッズ、スクールプロジェクト「海と山と大地の楽校」で学んだ経験の報告も興味深く聴きました。「酒の楽校」に通った笠原百絵さんは、酒米づくりと酒アイスづくりについてのべましたが、驚きの連続だったといいます。百絵さんは2本の稲が20本以上に枝分かれし、大きな稲に育ったことに感動しました。米はひと株に1620粒もついていたそうです。「音の楽校」で雅楽の魅力を知ったのは小池葵さんです。笙(しょう)という楽器の発音原理は、ハーモニカと同じです。葵さんは、息を吹いても吸っても音を出すことができるのにビックリ、楽校が終わっても浦川原区まで通い、しっかり演奏できるようになりました。彼女が会場で聴かせてくれた、切れ目ない音は本格的なものでした。将来、ひょっとしたらすばらしい音楽家になるかも。
きょうの発表会では、「これはどうかな?」と思うこともありました。その1つは運営です。中間報告発表会で概要を説明しても会場で参加者の意見を聴く場を設けないプログラム設定はうなずけませんでした。ご意見のある方は配布した用紙に書いて提出をでは、双方向で意見交換が十分できないし、それを第三者が現場で見ることもできません。また、プラン策定の目的の1つは「多様な地域性に富む上越市の良さを生かした教育のあり方を示す」ことだとしながら、この点での掘り下げの努力が見えませんでした。