委員会審議というものはおもしろいもので、1つのテーマをめぐって集中審議になることがあります。きょうの総務常任委員会がそうでした。上越市高田にある厚生南会館の取り壊し方針をめぐってほとんどの委員が発言したのです。発言内容は市の方針に正面から反対して改築または新築を迫るものあり、市の方針のこれまでを解説するものもある。また、今回の合併と今後の財政運営について、この施設を例に自分の意見を語るものもありました。おそらく、合併前上越市選出の委員は全員が発言したのではないでしょうか。
厚生南会館は1962年(昭和37年)に新築し、すでに44年ほど経っている施設です。大ホールには1500人を収容でき、大会議室、中会議室もある。昨年度は9万7000人あまりが利用しました。来年3月末をもって指定管理期間が満了となることから、市では、施設の老朽化、安全性確保などの観点から、この施設の閉鎖及び周辺の代替機能確保などについて検討作業に入っています。
議論は、検討内容はどのようなものかという佐藤委員の質問から出発しました。そして同施設が高田公園の中にあって高田地区のシンボル的な存在であるとして、永島委員が高田地区を意識した発言をしました。同委員は、「高田公園は最高の目玉。高陽会館壊します、南厚生会館壊しますといって、壊したままでいいのか。これでは高田地区の夢はなくなる。もっと市民の声を聞くべきだ」と迫りました。この発言で各委員の発言意欲に火がつきました。栗田委員は、「機能という面とシンボルという面がある。高田の人間にとってシンボル」だといってシンボル論を展開。田村委員は、「ボタンのかけ間違いがある。建物は壊す、そのあとはどうなるかわからない。これでは市民は納得しない」と訴えました。
問題を整理する方向で議論は続きました。わが議員団の杉本委員は、「前の市長の時代の市の計画(平成13年)で、取り壊し方針が出て、次々と新たな施設をつくる計画が示されていた。この方針は現在も生きているのか」と切り出し、「直江津図書館・水族館については市民も交えた検討委員会がある。厚生南会館についてもこうした検討委員会が必要ではないか」と提起しました。深澤財務部長は、建て替えを前提にした直江津図書館・水族館と壊すことにしている南厚生会館では対応は違うとしながらも、「少なくとも一般市民を交えた説明の場をつくっていかなければならない」と答えました。山岸議長は「今回の問題は行革のシンボルだ。スクラップすべきは大胆にスクラップしないとこの合併はうまくいかない」と自分の意見を披露しました。
きょうの議論をマスコミはどう書くのでしょうか。現在の建物は施設の管理者が毎日、目視して利用してもいいか確認しているほど安全性に問題があります。閉鎖するのは当然でしょう。問題は同様の施設を新たにつくるか、現在ある他の施設で間に合わせるかにしぼられてきます。新市建設計画と現在の市の財政運営状況を見つめたら結論はおのずとでると思うのですが……。