昨晩に続いて上野實英先生の話を聴きました。今晩は真宗大谷派のみなさんが中心になって取り組まれた尾神岳報尽碑研修会でした。講師は上野先生。尾神岳中腹にある報尽碑については昨年10月14日の「見てある記」などに書いてきましたが、今回は古文書などによって、遭難時の様子などが再現され、事故の時に運んだケヤキの出所などについても詳しく解明されました。
圧巻は雪崩が発生した時の光景でした。「沢」という集落から参加していた杉田友吉、スイ夫婦、ヨシとサカの2人の子どもに焦点をあてて、雪けむりを伴った雪崩が襲った時、家族はどうしたか。逃げろと子どもたちに呼びかけるスイ、雪に足をとられ、表層雪崩に巻き込まれていく子どもたち。雪の中から掘り起こされた子どももスイも冷たくなっていました。「寒かったろう、寒かったろう。息をしてくれ!」自分の肌で暖め、必死になって生き返らせようとする友吉。心の動きまで再現しての物語は涙無しには聴けませんでした。上野先生が史実に従い、書かれたこの物語は尾神岳報尽碑をめぐる歴史に残ることでしょう。すばらしいものでした。
研修会の参加者は40名ほど。地元の吉川区だけでなく、柿崎区、大島区、安塚区、浦川原区などからも参加がありました。研修会後の懇親会では、いろんな人との出会いがあり、交流を深めることができました。柿崎区の仙田伸太郎さん、大潟区の佐藤誠一さん、大島区藤尾の布施一郎さんとは初対面でしたが、報尽碑にまつわる話だけでなく、地域づくり、新上越市のあり方などで意見交換できました。明日は明治16年の雪崩があった日と同じ3月12日、10数人の人たちとカンジキをはいて、ケヤキを運んだルート(約10キロ)を歩くことになっています。楽しみです。