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小川未明文学館開館

 高田図書館内に小川未明文学館ができました。きょうはそのオープンセレモニーが行なわれました。私は未明については、童話集の一部を読んだくらいで、深くは知りませんでした。常設コーナーで彼の50年余の作家活動の流れを見て驚いたのは、社会主義に傾倒した一時期があったことでした。かなり正義感の強い人だったようです。たくさんのすぐれた作品を世に残した人ですが、最初から文章がうまかったわけではないことも、知って、なんとなくホッとしました。学校時代、教師によく叱られ、「どうも、君の書く文章は、テニヲハがちがっている」などと言われたとか。
 館内展示物の説明を学芸員から一通り聞いた後、「児童文学のふるさと上越」創作童話コンテストの受賞式がありました。このコンテストは、上越市とのかかわりがある作品にすることが応募の条件でしたが、全国からずいぶん応募があったということでした。児童文学作家の杉みき子さんの講評によると、上越という地でなければ成り立たない話に優れたものが多かったそうです。杉さんの講評の中で印象に残ったのは、「上越に生きる人々の心をえがかれればよい」という言葉でした。いつか私も挑戦してみたいと思います。
 さて、大賞を受賞したのは秋田市在住の小児科医、後藤敦子さんの『城山のモンシロチョウ』という作品でした。妻に先立たれたおじいさんの思いが伝わってくるとても感動的な話です。春日山城を舞台にしたこの作品を書くきっかけは、失語症とたたかっている父親の句集の中に春日山のことが書かれてあったことだそうで、作品の仕上げの段階では、父親に、「これでよいか」と確認したといいます。新潟市に住む後藤さんのお父さんが今回の受賞を一番喜んだのはいうまでもありません。
 作品も素敵でしたが、後藤さんの笑顔と挨拶にもひかれました。自分の作品についての話をコンパクトにまとめ、小川未明の作品や文学館についても触れる、心に響くものでした。未明の文学は子どものころからよく読んでおられたのでしょう、「未明の作品は不思議探しがたくさん詰まっているところがすてき」だといいます。最後は、「上越市だけでなく、他の地域にも開かれた文学館になってほしい」と結びました。もう一度会いたくなるような人でしたね。


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2005年10月01日 00:00に投稿されたページです。

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