どうされたか、気になっていた女性から手紙がきました。三宅島の佐々木美代子さんです。5年前の全島避難により、東京は台東区で避難生活をされていました。2月1日の避難指示解除で、おそらく三宅島に帰島されたのではないかと思っていましたが、正確なところは分かりませんでした。今回の手紙でお元気なことを知り、安心しました。
手紙では、本格的に帰島した後の暮らしぶりが丹念につづられていました。24時間火山ガス情報が出されていて、野菜や花を植えてもガスや酸性雨により一晩でダメになってしまう。そういうなかで、ガス対策をしながら大根を作ろうとしている。島での生活のたいへんさが伝わってきます。そういうなかで、お連れ合いがカヤの根を起こし、畑を広げていることや海運丸に乗って海の仕事も再開されたことを知って、島での暮らし再建にむけてがんばっていらっしゃるご夫婦の意気込みを感じました。
私と佐々木さんとの交流は数年前にさかのぼります。佐々木さんが避難先の東京・台東区から吉川の山間部の農家、Tさん宅を訪ねてこられたことがありました。その時、Tさんが私の書いた本を佐々木さんにプレゼントされたことがきっかけで手紙をやりとりするようになりました。まだ一度もお会いしたことがありませんが、ふるさとを見る眼がやさしく、社会問題への視点も鋭いのでいつも感心しています。
今回の手紙でも、郵便局の役割についてハッとする記述がありました。島にあった5つの郵便局のうち2つの郵便局がシャッターを下ろしているといいますが、「都会と違って小さな島の局の存在は、生活のパートナーであり、コミュニケーションの場であり、子どもやお年寄りの見守りの場でもある」とつづられていたのです。瞬時に農協川谷店(簡易郵便局でもある)と同じだと思いました。郵政民営化を進めようとしている人たちに読んでほしい文章です。