朝、新聞をめくっていてビックリしました。目に飛び込んできたのは、「憲法を変えて戦争へ行こう」の文字です。一瞬、一面全体を使っての意見広告かと思いました。何だこれは……と思いながら、もう一度読み直しました。「憲法を変えて戦争へ行こう」の後に一回り小さな文字で「という世の中にしないための18人の発言」とあります。右翼の意見広告ではなく、岩波ブックレットの宣伝でした。ホッとすると同時に、これはビッグな企画だと感じました。井上ひさし、田島征三、吉永小百合など著名人がずらりと並んでいます。出版社の岩波書店がこれだけの大掛かりな宣伝をする力の入れ具合からみて、本の内容にも自信を持っているにちがいない。これはいっときも早く読んでみたいと思いました。
午前中に市役所での用事を済ませ、本屋でこの本を入手しました。昨日入ったばかりということでしたが、30冊ほど平積みされていました。ぱらぱらめくってみると、これまで見たことのない編集がされています。縦書きがあれば横書きもある。長い文章は二段組、短いのは一段。絵と詩がセットになったページもあります。予想通り、斬新な編集がしてありました。ただ、午後からは予定がひとつありましたので、読みたいのを4時間ほどガマンして、家に戻ってから一気に読みました。
全文62ページ。18人の発言は先日、真宗大谷派主催の講演会にやってこられた中村哲さんからはじまっています。アフガニスタンで灌漑事業をすすめている中村さん、「武力に守られた支援は歓迎されない。『丸腰の強さ』を現地にいると痛感します」。2番手は戦前、戦後の時代を知っている美輪明宏さん、新しい憲法ができ、「戦争を放棄します」が入っていることを聞いて、ほんとうに跳びあがるほど嬉しく思った、みんな戦争の正体を知らなさすぎます、と語ります。美輪さんの憲法改正論者にたいする皮肉たっぷりの批判は切れ味十分、「また戦時中と同じように、日本中が老人と女子どもだけになればいいんです。自分の恋人を殺して、子どもを殺して、孫を殺して、さぞかし満足でしょうよ」。こんなにすごい文章を書く人だとは知りませんでした。18人は作家、芸能人、大学教授、企業人など多彩です。訴える角度も様々ですが、それぞれの個性あふれた訴えは、憲法を守ることの大切さをしっかりと教えてくれます。いま、吉川区でも有志が集まり「9条を守る会」を準備していますが、このブックレットは強力な援軍になるでしょう。
午後からの用事というのは妙高市の新井有線放送の取材を受けることでした。吉川区総合事務所の一室を借りて、旧吉川町まちづくり基本条例について話をさせていただきました。妙高市民のみなさんからもっと自治基本条例について知ってもらいたい、関心を持ってほしい、そういう観点で、たくさんの質問をされたのですが、少しでも旧吉川町の経験がお役に立てればいいなと思います。インタビューの中で、吉川町が新潟県自由民権運動の発祥の地であることをお話したら、アナウンサーの方は鈴木昌司についても知っているので、うれしくなりました。取材にこられたアナウンサー、じつは、私と同じ大学で日本史を学んだ後輩でした。世間は本当に狭い。