議員団会議、盆礼、ポスター張り、日中にやったことを並べると、こうなります。おそらく、まだ20回くらいはお盆の15日を今後迎えることになるかと思いますが、こういう過ごし方は今回が最初で最後でしょう。夜は前から読んでみたいと思っていた1冊の本をめくってみました。『子どもたちの8月15日』(岩波新書)です。この本は、1945年に子どもであった人たちがその年の8月15日をどう受け止めたかを書きとめたものです。疲れて全部を読むエネルギーは残っていませんでしたが、何人かの体験文を読むことができました。
特に印象に残ったものは、飢えの記憶についてです。当時、8歳だったイラストレーターの山藤章二さんは、天皇の放送が流れている時に、「天皇さまより梅干」でした。腹を極限までに減らしていたので、この時、梅干を盗んだというのです。この本の筆者の誰もが体験した飢えの記憶、当時のことを書こうとすると、どうしても食べ物のことが出てくるのでしょう。元NHKアナウンサーの山川静雄さんは、隣組に配給されたアメリカの缶詰、これには杏子のジャムが入っていたらしいのですが、これを開ける時の不安とともに、恐る恐る口に入れた時の味覚を書いています。脳天に突き抜けるような甘さだったと。
戦後60年。気になるのは、先の戦争を美化したり、正当化する動きが広がりつつあることです。日本軍の働きがアジア諸国の解放につながったなどといった声が、政府の人間の口から出てくる。侵略戦争正当化論が書かれた教科書が容認される、こんなことは絶対許せないことです。長岡空襲体験者の作家の阿刀田高さんは、この本の中で平和憲法について書いています。「平和憲法は……うれしかった。絶対に軍隊を持たない、戦争をしない、というのはすがすがしい。私は今でも、あの日のすがすがしさを心のすみに残している」。いま、戦争の記憶の継承をしっかりやらないといけない、と思います。